〝いっそこんなものがない方が〟──
その呟きは
古い血の証だけでなく
他人の値踏みに縛られた
その心まで照らし出す
因習めいた島
眩しい画面の向こう
愛嬌に乏しい一体の龍
異質なものたちが巧みに結ばれ
軽妙な笑いの底へ
承認を求める切実な渇きを沈めてゆく
誰もが本心を言えず
好意を利用と取り違え
執着を悪意の仮面で覆い隠す
そのすれ違いは
お腹を抱えるほど可笑しいのに
ふと、胸の柔らかな場所を刺す
人を好きになることと
自分を好きになれないこと
その狭間に生まれる
棘だらけの優しさを
冬の月光にも似た筆致で掬い上げた傑作です
頁を閉じても──
とぼけた顔の龍だけが
こちらの帰りを黙って待っている