追伸
Testamentum
親愛なるルーへ———。
あの夜、ぼくはきみが去っていくのを引き止めなかった。本当は、その背を射殺すつもりだったのにきみとは親友であるばかりにかたわらの弓矢をどうにも握れなくてね。
まったく、不甲斐ないことさ。
そうだ、きみはきっとまた、ぼくに会いに来るよ。
でもそのときのきみは今度こそ凶暴なトラになって、ぼくを喰い殺すのさ。
だけど、ぼくは誓ってきみに言う。
ぼくときみは、世界で無二の親友だってね。
きみは、親友というぼくの重い命を背負って生きていくことになるだろう。
そして、亡きぼくとの一生をまっとうできた日には、ちらばらになった破片が輪になって「
では、己のあやまちを悔いぬように。
———大河より愛をこめて。
※この遺書は近年、シェメッシュ小邦のレイヨナン式パレスの遺構調査において、焼失をまぬかれた一棟の幕舎内の、律儀にたたまれたハンモックの中から発見された。シェメッシュ小邦聖騎士団総長アルコが、ルンブラン公国忠節国士隊将帥キドンに宛てた手紙と思われる。かかる事例は、この一通においてほかに類を見ず、両国間の関係性を語る上でたいへん貴重な資料である。なお、執筆時期不詳の上、いまだことばのあやに込められた真意の解読にはいたらない。
fin.
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