最期にアナタが
あおじ
アーニと赤ん坊
多くの魔物が暮らす暗闇の森。そこへ住むメスの
まだ歩くことも喋ることも出来ない小さな命は、ふえふえと力なく泣いている。
アーニは考える。この赤ん坊は放っておくと、いずれは死んでしまうだろう。力尽きて死ぬのか、それとも他の魔物に食べられて死ぬのかの二択だ。
……だがまぁそれは自分には関係ないことだとアーニは森の方へと体を向ける。するとその時、赤ん坊の泣き声がぴたりと止んだ。
一体どうしたのかと思い振り返って見てみると、赤ん坊はうっすらと両目を開けてアーニに微笑んでいる。
殆ど生まれたてみたいな赤ん坊の目なんてまだろくに見えていないはずで、こちらを認識しているわけではないだろう。
アーニは赤ん坊に近づくと、バスケットの持ち手を口でくわえる。そしてゆっくりとした足取りで森の奥へと戻っていく。
アーニは赤ん坊の微笑みに、つい先日に亡くなった
息子の代わり──いや息子への贖罪の為、アーニは赤ん坊を育てることに決めたのだった。
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