第20話 鎌倉は、亡霊だらけ!
加奈子と紀代が部室に行くと、またもや茜と西城がやりあってる声が聞こえてきた。
「なんかやばいよね。西城さん、何に怒ってるかわかる気がする。女子だけで行くなんてけしから~ん!なんてね」
紀代の予感が当たる
2人が部室のドアを開けると、西城の声が鳴り響いた。
「女子だけで行くなんて、けしから~ん!」
「何で、何でぇ? これはプライベートで行くのであって、
部として行く行事ではないの。
そんなに行きたければ、彼女を誘えば?」
「き、貴様~!わいが彼女いないのを知ってて言うかぁ~!」
茜が振り向き、加奈子達に気が付く。
「あ、2女史、来たんだ。部長の言う事は気にしないでね!
私が責任とって連れてゆきますから」
今度は部室に野口先輩がやってくる。
「どうしたんですか?大きな声が廊下中に響いてましたよ」
「野口君、君も言ってやってよ!
茜君が女子3人だけで鎌倉に行くと言ってるんだよ!」
「あー、そうですか!いいですねぇー!いってらっしゃい!」
「お~裏切り者~!」
野口先輩の頭をぽかぽか叩く西城先輩。
「ねぇねぇ、部長ってさ、老害ぽくない?」
「しぃー!」
私は、思わず紀代の口を手でふさいだ。
「これで野口さんも認めたから、4対1で私の勝ちね!」
茜さんは勝ち誇ったように鼻でふんふんと笑った。
「くそ~!勝手にしろ~!その代わり、次の合宿場所は、この部長の権限でやるぞ!
いいか?」
「どうぞ、ご自由に~」
そろそろ、この二人の口げんかも終わったようだ。
「あの、茜さん、鎌倉に行くにあたって、服装とか靴とか、
どういうものがいいか、 私わからなくて」
「あ、野口君、教えてあげて。
野口君ね、ショップでバイトしてるの。
詳しいわよ!ね?」
「はい、お任せください!社員割引使えますよ、知り合いも知り合いだし!
最近は山ガール増えてきたので、女子用のグッズは豊富に取り揃えています!」
「のぐちぁ~~」
口をへの字にして悔しがる西城先輩。
「あ、部長!そういえばGWは山小屋のバイトでしたよね!
穂高連邦の!くれぐれも雪には気をつけて!
まだまだ山の上は冬!ですからね~!」
「おい、茜! 何いってるんだぁ~!山小屋のプロだぞ、俺は!」
「え。山小屋のプロ?西城先輩が?」
私はプロという言葉に引っかかった。
「いや、期間限定の雇われ主人だよ。西城部長は。ま、プロと言えばプロ。
だから鎌倉なんていかないですよね~。ふふっふ。」
あ、茜さんの謎の微笑み
「く、くそ~」
またしても西城先輩は茜さんに負けた。
「しかし、加奈子ちゃんに紀代ちゃん、鎌倉は昼間はいいけど、夜は本当に危険。
まじ、夜はあぶないから。ま、茜さんがいるから大丈夫だと思うけど」
野口先輩が心配になって言ってくれてた。
でも、なんで、そんなに念を押すのだろう?
夜は歩く予定ないのに。
「確かに色んな意味で危険だ。痴漢もいるし~」
茜さんがにやにやしながら言う。
「え~いるんですか?こわ~い!」
紀代が黄色い声をあげる。
ぶりっ子か!こいつ!
しかし、本当に怖いのは痴漢じゃなかった。
その怖さを知ったのは、茜さんから鎌倉時代の亡霊の話を聞いてからだった。
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