徳神様の言う通り

志那河 ひりた

Prologue

─────徳神村…


 どこかの山奥にある不思議な不思議な村。その村には人と神の使い、猫又が暮らしている。そんな徳神村にはある掟があった。


一つ

村長は歳徳神が決めること

一つ

村から出ないこと、出るなら村長に許可を貰うこと

一つ

歳徳神社には毎年舞を捧げること


 これは村の誰もが知っている掟である。この掟は誰も破ったことがなかった。だが、ある日、たった一人の少女が破ったのだ。少女は白から黒の短髪のグラデーションだった。朱紫色の瞳は引き込まれるほどの魔性の魅力があった。

 少女は掟の一つ、村から勝手に出たのだ。どこまでが村なのか、少女は知らなかったのかもしれない、だが、少女は突如となく姿を消した。姿を消す前の少女はなぜか嬉しそうな笑みを浮かべていたらしい…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 絵本を読み上げる猫耳、2本の尻尾をゆらゆらさせ「おしまい」と言った白色の髪、淡い金色の瞳。彼女は如月きさらぎ 猫音ねね。彼女は私を見ながら言った。


「──、あなたが妹たちを守ってね」


 少し困ったような顔をしながら私を見る、母。


「わかったよ、あたし、みんなを守るから」


 キリっとした顔を見せると母は嬉しそうな顔をして笑った。


「ありがとう」


 私の頭を撫でながら感謝を述べる。──────その後母は死んだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 私は昔のことを思い出しながら涙を流していった…

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徳神様の言う通り 志那河 ひりた @SINAKAWAHIRITA

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