終末の王国――その始まりにある“命の記憶”

路地猫みのる先生の作品を読むたびに思うのは、言葉の一つひとつが、あとから心に届くこと。

この『騎士道は、三つの命の中に』もまさにその一編でした。
描かれるのは、戦いや名誉ではなく、“生きること”そのものの尊さ。

本作は『終末の王国~原初のアルカンシェルを求めて魔境の旅路へ~』のサイドストーリーにあたります。
単体でも温かな読後感を味わえる短編になっていますが、個人的にはぜひ本編を読んでから触れてほしい。
そうすることで、この物語がもつ「重み」や「命の連なり」がいっそう深く胸に響きます。

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秋の庭園、老騎士の教え、走り回る子どもたち。
その穏やかな時間の中で紡がれる“命の受け継ぎ”を、ぜひ皆さまにも一緒に堪能していただきたい。

読み終えたあと、思わずもう一度タイトルを見返しました。
また、ずっしりと後から胸に届く感動――

先生らしい、あたたかさと深みのあるこの短編、心からおすすめいたします。