家族に嫌われている僕が、Sランクの最強冒険者パーティーに育てられて冒険者になるっていうよくある話

むめい

家族に嫌われている僕は、いつも通り使用人としてこき使われる

僕は泣いていた。泣いて、泣いて、

…でも、誰も心配してくれやしない 。気にかけるってことすらしてくれない。

気づいたんだ、そのとき。

___僕はいらない子なんだ、って


…っ、また、昔の夢。これで何回目だろう

「レイ!いつまで寝てんだよ、さっさと起きて朝飯作れ!」

「はい、すみませんレオルド様。今お作りします」

今怒鳴ったのは僕の二番目の兄で、レオルド・デライク。

うちは没落貴族で、名前だけは立派だけど、平民だ。

でも僕の両親は、まだ自分たちは貴族だと思い込んでいて、没落したときに使用人を失った代わりに、僕と、少し体が弱く、家名を継いでも跡継ぎが期待できないらしい一番上の兄を使用人としてこき使ってるんだ。

自分の両親だけど、クズだってずっと思ってる。

没落した二年前から、いや、両親がレオルドばかり可愛がるようになってずっとこうだから、もっと前から。そんなだから、こき使われるのはもう慣れっこなんだ。

一番上の兄…ロナウドは、体調も回復してきて、もうこんなところにいられるかよ、明日自分で出て行く、って言っていた。僕も連れて行って、って頼んだけど、

「レイは連れて行けない。俺がいなくなってお前もいなくなったら、父さんたちが探すだろ。そんな逃げるのに面倒くさいことになるのはごめんだよ。」

そう言われた。本当は分かってた。そう言われるかもしれないなって。

結局、そこそこ仲がいいと思っていたロナウド兄さんも、僕のこと好きじゃなかったんだって気づいたけど、どうってことはない。

あぁ、でも、これで本当に孤独だなって、痛感した。

昨日のことを考えると、今料理中だってのに、涙が溢れそうになる。

「おい、使用人。朝食はまだか!息子が学校に遅刻するだろう!」

「はい、申し訳ありません。只今お持ちします」

…ふぅ、こんなことをくよくよ考えてても仕方ない、よね。とりあえず今日を乗り切ることだけを考えよう。

「朝食です」

「遅いわよ、のろまが。あなた本当に使えないわね。」

「申し訳ありません」

「ふん。あ、レオルドちゃん?今日、学校から帰った後、あの有名なSランクパーティー、竜の影様に来ていただくわ。貴族に恥じない戦闘術をよーく学ぶのよ?」

竜の影?聞いたことある。確か、炎の剣士アルフリードが率いる世界最強のパーティーだったよね。そんな人達から、なんで没落貴族であるレオルドが学べるんだろう?しかもここにお越しいただくなんて。

「ああ、母上。叔父上が作ってくださったこの機会にたくさん学べるよう、精一杯頑張るよ」

そういうことか。僕たちの叔父は高位の貴族だから、お金や権力で無理矢理依頼を受けさせたんだ。

「レオルドちゃんは本当にいい子ねぇ!それに比べて…」

奥様…つまり僕の母は、朝食を食卓に置いた後うしろの方に下がっている僕を蔑むような目で見た。

「まぁまぁ母上、レイはまだ子供です。これから躾けていけばよいのですよ」

「レオルドちゃん、あなたはなんて慈悲深い、優しい子なんでしょう!」

「ああ。レオルドは本当に出来た息子だよ」

…茶番だ。躾けというのはただの暴力だろうに。でも、僕はその躾けと言う名の暴力を受けるしかないんだ。この家で生きていくには。

「…使用人、目障りだ。さっさと自分の部屋に下がれ」

「承知いたしました。失礼します」

_____はぁ。自分で何かしないと変わらないっていうのは分かってるけど、誰か、僕をここから出してくんないかな。



次話に続きます。

約1400文字って、少ないですかね?

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