踏切の「カンカン」という音が、冒頭とラストで異なる意味を帯びて響く構成が印象的な掌編でした。ほんの一瞬の軽率な行動が、罪悪感と恐怖となって主人公を飲み込み、日常が急に傾いていく感覚が丁寧に伝わってきます。ニュースの一報に揺れる心と、思考が暴走していく過程に、人間の弱さや逃げ場のなさが静かに滲みました。踏切というありふれた場所が、いつしか主人公の心理となり、音がその象徴になる——そんな余韻を残す物語でした。