無限のゲーム - 絶望の先にある勝利』

@SlowAleen67

「序:静寂」

俺に聞く奴は多い。

「お前の盾は何だったんだ?」

って。

知識か?

違う。

権力か?

それもねえよ。

それは、静けさだ。

外の静けさじゃねえ。

内側で、胸の奥で鳴り止まねえやつ。

嵐のど真ん中で、

ぽつんと浮かぶ島みてえなもん。

俺は思う。

世界は俺を何度もぶっ壊そうとした。

数えきれねえくらい。

何度も、何度も。

でも、俺は折れなかった。

痛みを感じねえからじゃねえ。

恐怖がねえからじゃねえ。

わかってたんだ。

叫び出せば、そこが終わりだって。

一瞬で、

戦いは俺の負けだ。

この静けさは、空っぽじゃねえ。

満杯の器だ。

こぼれねえ、

こぼさせねえ。

肺が焼けつくように息を吸う力。

真っ暗な闇の中で、

道を探し出す目。

俺はまだここに立ってる。

力持ちだからじゃねえ。

この、絶対に揺るがねえ静けさのおかげだ。

どんな試練が来ようと、

これが俺の答え。

これだけだ。

唯一の、俺の答え。

――そう呟いたのは、

シゲロ・ケイトだった。

あの、銃弾を止めた男。

綾奈の、運命を変えた影。

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