金木犀

深夜散歩でらーめんを食べるのは自分だけのためだが、早朝出かけて家族の分もパンを買ってくるのはケンセツテキな行為だろう。


そう思い立ち、近くに早朝から開くパン屋は無いか調べた。


あった。6時30分オープン。


布団の中でまどろんでは刺激にたたき起こされるを繰り返し、5時45分。


ここから僅か20分ほどのところにあるらしいがちんたら歩くのでもう出かけよう。


そう思ったら靴下をはいていなかった。


まあ、焦ることはない。財布も持った、スマホも持った、緊急連絡先も持った。


お茶は忘れたが、必要なかった。今たくさん飲んでる。


のんびり歩いていたら【しくらめんのかほり~♪】ではなく、金木犀の香りがした。


小学生の時は家の近くにキンモクセイが沢山植えられているところがあった。


そこを通るたびに、深まる秋を感じて大好きな冬が待ち遠しくて嬉しくなったものだ。


今は家の近くに金木犀は無い。そのパン屋に行く通りはあまり歩かない処だから、このご時世でも金木犀が香ったのだろう。


早朝散歩もまた、良い。


犬が多い。


自分のようなコミュ障には「犬を撫でられるかも」なんて無謀な考えは持っていないが見るだけで癒される。


柴犬が多いが、見るだけならカワ(・∀・)イイ!!。


お目当てのパン屋には15分も前に着いてしまい、店のおばさんに早く準備させてしまった。


申し訳ない。


歩いていく犬たちを眺めるだけで幸せなので良いのだ。


今日は愚痴ではなく、幸せをおすそ分けすることになりそうだ、そう、思っていた。


トングでカチカチとパンを脅かすと旨味(うまあじ)が増すとのくだらない妄言を信じているわけではないが、無意識にカチカチしながら、気づいた。


甘パンの種類が多い、総菜パンが少ない。


目の毒だ。甘いものを食べたら糖尿病が悪化して足を切る羽目になる。


とりあえず、ソーセージパンと、卵サンドをトレイに置いた。


足りないだろう。


足りないな。


家族の分も

買うのだ。


買うのだ。


買おう。


買う(決意)


チョコとコーヒーとシナモンと洋ナシデニッシュとアップルパイとフルーツサンド二種とメープルパンとメロンパンとチョココロネとあんぱんを……買ってしまった……


「お腹がすいていたんだ」「種類が多かったんだ」


そう供述しており・・・・・・






 

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