子曰く「現実は小説よりも怖いものである」と

赫色メガネ

第1話 新学期

とても寒く雪がシンシンと……いやバケツを引っくり返したようにどっさり積もった冬が終わり桜の咲く春になった。僕、佐藤 祐清さとう ゆうせいは中学2年生になり新しいクラスにはどんな人達がいるんだろうと胸を躍らせていた。



新しいクラスに行ってみるともうすでに何人も人が集まっていた。前のクラスで一緒だったのだろう数名でいくらかのグループに固まって喜んでいるのがわかる。しかし僕の前のクラスの友達は今のところ1人も居ない。まだ席がいくつか空いているのでもしかしたらいるのかもしれないがそんなことはないだろうと思い新しい自分の席につく。


(10分後)


あと数分で学校の始業式が始まるのだがまだ2席も空いている。周りも「初日から遅刻?」「いや 休みなんじゃない?」「不登校?」などとコソコソ話が始まった。そうしていると先生が入ってきた。今までに学校に居なかった眼鏡の若い女の先生で周りの話の内容も空いている2席から一気に新しい先生の話になった。このクラスの担任になったのだろう。教卓に立ち自己紹介を始めた。


優妃先生「私は今年から教員になった斎藤 優妃さいとう ゆうひといいます。初めての教員でこの学校のこともあまり知らないから、ぜひいろんなことを教えてね。」


クラス中から「出身地は?」とか「誕生日は?」「彼氏はいるんですかー?」とかの質問がクラス中から嵐のようにあがった。(最後の質問は女子から「男子サイテー」と言われていた)


優妃先生「あとで自己紹介の時間を取りますからその時に質問に答えます。 出席を取ります。 〇〇さん」「はい」優妃先生「〇〇くん」「はい」


それが数人続き、優妃先生「佐藤 祐清くん」「はい」自分の番が来たあとも特段変化があるわけもなく続いていった。


優妃先生「山田 大誠やまだ たいせいくん」シーン 優妃先生「大誠くん いますか?」それでも返事がないため空いている席の1席が大誠ということが分かった。大誠は1年の時から僕の友達でよく休憩中にはなしたり授業中に紙を回して会話したりするぐらい仲がいい。そしてクラスの中心だった。けどよく寝坊したり遅刻する。だから今日もまだ春休みだとでも思って寝坊したんだろと心のなかで納得することができた。そんなことを頭の中で考えていると点呼は結構進み最後の一人まで進んでいた


優妃先生「渡邉 美穗わたなべ みほさん」シーン 

優妃先生「美穗さん いませんか?」


もう一人は小学2年から仲の良い美穗だった 美穗は天然なのかドジなのかよくわからない。中1の頃はよく尖った小石にチャリを乗り上げてパンクさせたり、寝癖が悪すぎて目覚まし時計を壊して遅刻したり、流石に壊さない場所においたと思ったら目覚ましをセットするのを忘れていたりと例を上げたらキリがない位やらかしている。多分今日は目覚ましをかけ忘れたのだろう。


てか初日から唯一話せる友達2人が居ないのはちょっと寂しい。


優妃先生「はい 出席を取り終わりましたのでまずは隣の人と話し合ってみましょう。」


そお優妃先生が言うとクラス中が一斉に隣の人と話しだした。僕も話そうと思って隣の女子に話しかけた。


祐清「えっと… 僕は祐清って言います。好きなものはゲームとからあげです。」


綾香「えっと…私は池田 綾香いけだ あやか 好きなものは…怖い話とか心霊スポットです…。」


祐清「へぇ〜行ったことあるの?」


綾香「ありません。動画で見たりするだけなんですけどいつか行ってみたいな〜って思ってます。…あなたは怖い話とか好きですか?」


祐清「ん〜まぁまぁかな?」



その時、僕はまだこの後起こる恐怖を知る由もなかった。


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