あなたは『叫び』を知っていますか?

モナリザを知っていますか?
夜警を知っていますか?
天地創造を知っていますか?

絵画に造詣が深くないぼくですが、これらはなんとか知ってると答えます。
美術の教科書にも載ってましたからね。

でももし「ほんとに知ってるの?」と念押しされたら、言葉に詰まってしまうかもしれません。

知ってるとはなんだろう。
うっすらと全体を思い出せはするものの、その絵には何人の人物が描かれているかとか、服は何色だとか、天気は晴れか曇りかとか……実際ぼくらはその絵を見ているようでいて、何も見ていないのかもしれません。

そんなぼくらの知ったかぶりを粉々にするのが本作です。

日常に突如現れる偶然——はからずも名画の構図と完全一致する奇跡の瞬間を、主人公である真実の眼は逃しません。

本作の読み方は自由ですが、個人的なお薦めとしてはまず文章のみで通読頂き、「ん?あの絵ってそんなだったっけ?」と疑いながら、そのモチーフの名画と並べてもう一度読んで頂きたいと思います。

何度も膝を打ちました。
よう考えるなあ……

オススメです!

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