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復縁希望
とうとうストーカーになった
ストーカーをやる男の気持ちが分かった。
復縁したいとか、また抱きたいとか、そんなんじゃない。ストーカーしか生き甲斐がないからストーカーをやる。俺は今、生きるためにストーカーをしている。
そもそも、二週間前まで普通に付き合っていた。毎晩のように「もう無理」「会社行きたくない」って長電話をしていた。正直、だるかった。仕事終わりに疲れてるときに、1時間も愚痴を聞かされるのはしんどい。
でも、なんだかんだ嫌じゃなかった。頼られてるって感じがあって、それはそれで悪くなかった。「ああ、俺って必要とされてるんだな」って。承認欲求が安く満たされていた。夜のLINE通知がご褒美の餌みたいになっていた。情けない。
彼女の会社は東都〇〇グラフィックスで働いている。
知ってる人は知ってるだろうけど、業界じゃ有名な制作会社。大手広告代理店の下儲けで、良質な案件がガンガンくるらしい。営業しなくていいってのはそれだけ給与も待遇もよいってことだ。
俺の勤め先の中小ITもそこそこホワイトだけど、あそこは次元が違う。未だにプレミアムフライデーとか言って、金曜には早上がりしている。いつも、残業なしで帰ってくる。
そんな会社なのに、人間関係が悪いとかで毎日愚痴を言ってくる彼女だった。どこにでもよくいる働くことが嫌いな人間だった。
2週間前、唐突に電話かかってきてまくし立ててきた。
「労働最高」「最近、仕事が楽しいの」「働きましょう」 「朝、会社に行くのが楽しみだ」「労働が楽しい」…等
いやおかしいだろ。と思って、すぐに彼女の家に行ってみた。躁鬱の可能性もある。
で、彼女と会ったんだけど、顔が変わっていた。
顔つきが違う。
超、痩せこけている。目がギラついてて薬物やっている芸能人のような雰囲気。その反面、めちゃくちゃ姿勢がよくて、はきはきと喋ってくる。口調もいつもと違う。とにかく「一緒に働こう」とかなんとか言ってくる。
別人みたいだった。怖くなって、もっと正直いうと面倒で、俺はその日、ごめんとかなんか言って帰ってきた。自分が悪いわけではないけど謝ってしまう自分の性格がいやになる。
数日後、LINEで「一緒に働きましょう」って一文がきてた。で、返信しても既読がつかない。永遠につかない。電話も出ない。ブロックされた。意味が分からない。
俺は普通に動揺した。心配もするし、何より俺は彼女が好きだ。
で、気づいたら俺は彼女の会社の前に行ってた。
絶対に、声をかけたい。朝6時くらいに行った。
彼女は俺がついてすぐに出勤してきた。
結論から言うと、声をかけられなかった。びびったんだと思う。彼女は目がガンギマリですごく姿勢が良かった。仕事できますオーラ全開だ。苦手だ。お前、ストレートネックだっただろ、みたいな心のツッコミをしながら彼女が通り過ぎるのをただ見つめて終わった。
同じ人間に見えなかった。
本人なんだけど。
新しい彼氏をつくったのだろう。とはいえ、LINE一本で別れようはおかしくね。
俺の扱いってその程度だったのか、ってよぎったら、駅前の松屋で牛丼食べながら涙が出そうになった。紅ショウガをつかんだ箸が震えてた、何回かつかめなかった。店内BGMで流れてきたのが back number の「ハッピーエンド」。降られた女視点の曲だが「ああこれ俺のこと歌ってるな」って勝手に解釈した。牛丼かき込みながら聴くと涙がでた。ほんと、彼女以外の生き甲斐がなくなった。
仕事も消化するだけ。話せる友達はいない。休日は起きて寝て終わり。
俺の人生から「彼女」が抜けたら、マジでスカスカのExcelシートみたいなもんだ。→これ俺の上司が言ってきた。ディスとしてうまいなと感心してしまった。
別に復縁したいんじゃない。彼女はもう新しい男に染められたのもわかっている。
ただ見ていたい。眺めていたい。俺はこれ以上に生きる理由がない。
だから、俺はストーカーになる!(できるだけ明るく言っているつもり)
こうやって文章にしてメタ認知できてる時点で俺偉い、とか思ってるあたりが一番ヤバい。 とかってコメントきそうだよな。
こないか、こんな糞ストーカーの日記に。
自分を保てない。書かずにいられない。ほんと誰かに笑ってほしい。できたら彼女に。まだ好きだ。きついな。手をつなぎたい。超好きだわ。
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