第41話何とかして褒められたい
首を持って帰ると、なんで死なないんだって感じで怒られたんだけど、死なないんだからどうしようもないじゃないか。敵兵が弱いのがいけない。単純な力比べでも負けるつもりはないし、こう言ってはなんだが、作戦が曖昧過ぎるから皆が死ぬんだよ。もう少しまともな作戦をだな。別に何人死のうが勝手なんだろうが、もうちょっとやれることがあるんじゃないのかね? 作戦指令室からは何も言われないのかな? もう少し成果を出してくれとかさ。……成果を出す? それって俺たちの活躍だけでは足りないってことか? そうか……。そう言う事か。上はもっともっと活躍して欲しいんだな。いやいや、皆まで言うな。解っているとも。次の作戦では、全力を尽くそうじゃないか。まだまだ余力はあるんだし。今度こそ、大きな活躍をしてみせようじゃないか。大活躍すれば、上だって認めざるを得ないだろう。そうだ。俺たちが怒られるのは、想定以上の成果を出せていないからなんだ。想定以上の成果を出せれば、上だって褒めてくれるはずだ。そうだろう? 大将首では足りないと言われているんだから。まあ、だったら何をすれば良いのかって問題はあるんだけどな。
「ねえ、さっきから何を考えているの?」
「ん? 次の作戦の時には、どうやって目立とうかなって考えているんだ」
「あれ? 目立つことをするの?」
「だって、大将首を取って来たのに、怒られているだろう? 普通は大将首を取ってきたら、褒められるんだ。だってそうだろう? 活躍した証拠なんだから」
「うーん。私は首は要らないかなあ。部隊長もそうなんじゃないの? 首なんか必要ないんだよ」
「そうなんだよ。部隊長は首は要らないって言っているんだよな。それはすなわち、別の成果を出せと言っているようなものだろう? 首が要らないなら、俺たちが作戦を成功させないといけない訳だ。作戦が成功したら、流石に褒めてくれるとは思うんだよ」
「でも、今までも作戦は成功してきたよ? 作戦通りにやっているよね? それで怒られるのもなんでなんだろうとは思うけど、もう怒られるのが普通なんじゃないかな?」
「いや、そんな事は無いはずだ。俺たちが活躍すれば、一気に状況がひっくり返るんだから、多少は褒められても良い筈なんだよ。戦局を変えられるだけの力があるんだから、戦局を変えてしまわないといけない訳だ。それには非情に苦労をする事ではあるんだけど、出来ない訳じゃない。まだドラゴンは解禁しないけど、それ以外の召喚獣を使って、評価される様な活躍をしないといけないんだよ。そうじゃないと、褒められないからな」
「なんだろう。別の意味で頑張っているような気がするけど……」
「頑張るのは当然だろ? 洗脳されているとは言っても、こんな所で負けて貰っては困るんだからさ。負けて面倒な事になるのは御免だからな。活躍して、少しでも楽隠居させてもらわないといけないんだからさ。アーリアだって嫌だろ? 折角吸血鬼の町で遊んでいる所で、いきなり徴兵されて戦場に向かわさせるのは。俺だってそうだ。折角未開地にも遊びに行けるかもしれないのに、戦争をしなければならないってなったら、帰ってこないといけなくなるじゃないか。それはよろしくない。非情によろしくない。だから、最大の力をもって、戦争を長引かせないようにしなければならないんだ」
「でも、戦争をしたい貴族が居るかもしれないんだよね? その場合はどうするの? 指揮官を殺すの?」
「そうなんだよなあ。戦争を続けたい奴らが居るかもしれないんだよな……。そんな奴らは死ねば良いとは思うが、そういう人は前線には出てこないしな。だから、圧倒的に勝たないといけない訳なんだ。苦戦するとか、そういうのじゃないんだよ。圧勝をしなければならない。これまでは、まだまだ圧勝というには足りなかったんだ。これからは、もっと圧勝を目指していかないといけないと思う訳でさ。だから、ある程度はやらないといけないと思っているんだ」
「そうなのかなあ。作戦通りにやればいいんじゃないかな? でも楽しくないのはそうだよね。もっと強い人が出てこないと楽しめないから。大体の人がエナジーバレットで死んでしまうんだよね。もっと格闘戦をやりたいんだけどなあ。何処かに居るんだろうけど、会えないんだよね」
「それは俺も同じだ。もっと強い奴が居てもおかしくない。簡単に勝てるだけの敵兵なんて必要ないんだ。もっと楽しく戦争をしたい。血沸き肉躍る闘争がしたい。殴り合わないと解らないことだってあると思う訳でさ。だから、もっと楽しい戦場があるはずなんだよ。そこまで辿り着けていないから、怒られるんじゃないかなって思ってきたんだよ。怒るだけの理由があるはずなんだよな。慢心するなって意味なのかもしれないけど……」
戦場で、どんな作戦をするのかは、個々人に任せられている。ある程度の命令を聞いたら、それでお終いって形になっているんだよな。それで帰ってくるからいけないんじゃないか。作戦行動が終わったら帰還するって方法では、評価されないんじゃないか。そんな気がしてならない。
だから、もっと目に見えた活躍が必要なんだ。もっと大胆に動かないといけないんじゃないか。そう思う次第である。作戦行動を熟すだけでは3流なのかもしれない。1流になるには、もっと先の事も考えないといけないんじゃないか。そう思えて来たんだよな。絶対に何とかするって気概で挑んでも、それ以上の作戦行動はして来なかった。命令違反をする訳ではない。ただ、敵を倒しただけでは、何も解決しないのではないか。もっと別の何かを求められているんじゃないか。そう思うんだよ。
実際に、第15部隊は何度も命令を出している。俺たちが必ず選ばれる訳ではない。俺たちの実力がどうのこうのってよりは、全員を1回は使ってやらないといけないって心理だとは思うんだけど、毎回選ばれるくらいになりたいんだよな。そうじゃないと強い敵とも当たらないんだし。でも、それだけだと、やっぱり作戦行動を熟すしか無い訳で。何とも難しい状況なんだよ。強い敵と戦いたいってのは、欲求としてあるんだ。もっと強い人が居るとは思うんだよ。それで何とか戦わないといけないんじゃないかって思っているんだよな。
「だから、命令違反にならない程度に、大活躍をしないといけないんじゃないかなって思うんだよ。そうじゃないと認められないのかなって。他人が死ぬのは勝手だから良いとしてもだな。俺たちが認められないのは、その所為なんじゃないなかって」
「大活躍かあ。難しいよね。結局、私に出来ることって限界があるしさ。殴り勝つのは簡単なんだけど、それ以外って難しいもんね。召喚獣の皆を使って、どうにかする程度の事しか出来ないんじゃないかなって思うんだよ」
「俺だって同じだ。召喚獣が戦ってくれないと、戦果を上げられない。それ以外の方法と言ったら、大将首を上げる事くらいしか出来ないと思う訳だ。それが本当に良いのかって疑問はあるんだよな。召喚獣ばかりに頼っているから、とは思わない。召喚獣だって立派な召喚士の手段だから。でも、それを考えても、大活躍をしないといけないんだろうな。難しいのかもしれないけど」
何とかして、大活躍をしないといけない。その為には、沢山戦場に行かないといけないんだけど、そこまで戦場に行ける機会があるのかって話になってくるからな。戦場に行く機会は少ないんだ。それをものにしないといけない訳で。何とか活躍したいよな。
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