第16話 薄々は必要無いようだ
大手衣料品店を出てから、俺達はドラッグストアに向かった。奥様達の日用品の購入の為だ。
俺が一昨日シャンプーやボディソープやスキンケアのクリームを買った事を伝えたら、品名を教えろと言われ覚えている限り伝えたら、アズサとユイナさんに鼻で笑われた。
更に、アズサには大事な嫁さんに、雑巾で顔を洗わせているのか!と説教まで喰らった。なんか悔しかった。
と言う事でドラッグストアに入った。
「オリビアさん達メッチャ綺麗だから盛る必要もないわね」
「基礎のスキンケアとヘアケアのコンディショナーぐらいかな」
「ですよねー!端から回りましょう」
「すまぬ、ユイナにアズサよ二人がいて余も助かるのじゃ」
二人にはコソッとオリビアが三百歳越えを伝えてある。流石エルフねと然程驚きもしなかった。
「お姉ちゃん!凄くいっぱい物があるよ!」
「何に使うかさっぱりだけど、箱を見ているだけで、嬉しくなりますね」
クリスもマリアも喜んで貰えて来た甲斐がありました。
俺はショッピングカートを押しながら後ろを着いていく。また、時間がかかりそうだ。
薄々スキンの棚で五人が固まってコソコソ話している。ユイナさんとアズサが俺を見てビックリしている。何に驚いてんだよー!
結局買わないのかよー!あっ、ローションはご購入ですか、それも10本とは……
あれ、俺いつも中出しだな、大丈夫なのかな?まあ彼女達に任せれば良いだろう。
喜んで貰えているし良いよな。
「あー、君達ちょこちょこ来れるのだから慌てて買わなくてもいいんだよ」
「そんな事分かっているわっ!余り細かいと頭禿げて捨てられるわよ!」
「テメェ!アズサなんでお前が返答する!」
クソ、ショッピングカートが二台山盛りになっているじゃねーか!半分はスナック菓子だろ!
会計を済ましサッカー台で空のダンボールに適当に詰めていく。
「皆んなでやると直ぐに終わるね」
「ここで収納しちゃえばロウ」
クリスが軽く言ってくるが、それは絶対店の中でしてはいけないとコンコンと三人に分からせてやった。夜にも分からせて、やらなければならない今から楽しみだぜ!
「クリス重くないの?」
クリスは大きなダンボールを片手で持っていた。
「えっ?あっ、これね全然だよ私達普通の人より力あるから」
「そうなんだ……」
店から出ると俺は認識阻害を使った。
多分見えているけど、全く気になら無い感じだと思う。そして皆んなの荷物を収納する。
「あ、ロウ様ありがとうございます」
「マリア、気にすんな愛する奥様達にダンボール箱など持たされ無いから」
すると、右からクリス左からオリビアが俺の腕にしがみついてくる。可愛い奥様達だ。
「うふっ、今日も頑張ってご奉仕いたしますロウ様」
「へへ、嬉しいよマリア」
少し膨らんでしまった。
「あっ!姫様見て下さい!あの店」
「なっ!ケ、ケーキだわ……」
「何!あれがケーキなる物か!」
三人にの足が完全に止まってしまった。
「矢島君、カフェもあるようだから寄っていきましょう」
「そうですね。おーい、皆んなケーキ食べて行くぞ!」
「やったー!ありがとうお兄ちゃん!」
クソ、アズサめ!なんで一緒に喜びのダンスしてんだよ!
「うわー!凄い沢山あるよ!」
「おー!コレがケーキか……端から端まで頂こうぞ!」
「オリビア様、些か多いと思われます。
まずはここ迄の半分で様子を見ましょう
その後追加で残りの半分を頂ければよろしゅうかと」
「ふむ、マリアに任せるのじゃ」
「はっ!有難き幸せでごさいます!」
胸に手をやり頭を下げる様は近衛騎士のようだ。
「マリアは近衛騎士の団長だったのよ」
へっ!俺瞬殺じゃん……
今俺の目の前ではカニでも食べているかのように、無言で黙々とケーキを食べる四人がいる。
あー、見ているだけで胸焼けしそう。
「ねえ、矢島君さっきの衣料店であの人は何故自分の社割まで使ってサービスしてくれたの?試供品や販促品のキャップまでくれたよね」
「ああ、あの人ですか?試着室に盗撮用のカメラを仕込んでいたんですよ」
「えっ?盗撮……」
ケーキを小さなフォークで口に運ぼうとするユイナさんの手が一瞬止まった。
「その事を本人伝えたらサービスしてくれたんですよ。此処での事は公言しないと約束迄してあげたんです」
「盗撮を許したんですか?」
「ええ、あの店での事だけですけど」
「えっ!まさか……」
ユイナさんは紅茶を一口飲み込んだ。
ああ、鼻に抜ける茶葉の香りがとても優雅で落ち着きます。
「駅内の女子トイレの事は約束して居ませんので、トイレのドアに貼り紙をしておきました」
「貼り紙……」
「盗撮カメラあり!警察を呼んでくださいとね。カメラの持ち主の住所も保存してあるPCのパスも書いて置きました。
もう少しで彼、連れられて行くんじゃないですか?俺の奥様達を覗き見るなんて絶対に許さん!」
私は矢島君の事を軽く観ていたけど、
とんでもない人ね。
グンジの親友で良かったわ。
「矢島君、グンジを助けてやってね」
「え、勿論ですよ!ユイナさんもね」
「ありがとう矢島君」
「いいえ、いつも世話になっていますから」
目の前の四人は未だ無言でケーキにパクついていた。
えっ!残りの半分も注文したの?
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