第15話 下着を買いに行こう②

「へ〜、クリスティーナさん、私と同じ歳なんだね」


「クリスでいいわよ私もアズサと呼ぶから」


「よろしくねクリス」


同い年で何ていう乳してんのよ!

三人ともエロフなのか!


「私はマリアンヌよアズサ宜しく」


「こちらこそ宜しくお願いしますマリアンヌさん」


「マリアでいいよ皆んなそう呼んでいるから」


「じゃマリアさん宜しくお願いします」


 こちらはオリビアさんって言っていたわね。なにか凄く威厳がありそうだわ。


 それを察した兄ロウが仰々しくアズサに宣った。


「アズサ!オリビア様の御前でござるぞ!

頭が高い!控えおろうー!」


「お兄ちゃん……プレイなのね?」


「プレイでは無い!土下座をし俺の靴を舐めるんだー!」

「なんでよーバカ!」

「なんだとー!」

「ロウよ落ち着くのだ」


「はっははー、陛下畏まりました!」


 土下座までしなくても良いのにとマリアは思った。まあロウだから仕方が無いとも思っていた。


「アズサ、私の姉ちゃんエルフ王国ウッドストックの女王陛下なのよ」


「うへーっ!マジなのですか?」

「マジです」


「そうだぞクリスティーナ様は王女殿下であられる」


「えっ?妹だよねオリビア様の娘さんなの

なら王女殿下だけど、姉妹なら王妹じゃないのお兄ちゃん」


「えっそうなん?アズサさん物知り」

「どう見ても親子に見えないでしょう」


「だよな、ご先祖様だ。ひぃ!睨まれた」


 と言う訳で、俺達は服の量販店に向かった。雑居ビルの3階の事務所から階段をつかって下に降りると、急に立ち止まったオリビアの後頭部に鼻をぶつけた。


「オリビア急に止まったら危ないって!

ありゃ?どうした?」


 ビルから出た途端にエロフの三人は固まってしまった。


「おいおい、どうしちゃたんだよ!」


 思わず俺はオリビアとマリアをお尻を鷲掴みにしてしまった。貞操結界も通常通り発動しているこれはオートなんだと改めて感心した。脇腹や下っ腹を撫ぜても結界は作動しなかった。


 本当に貞操だけ守っているんだなと俺は今更になって思った。


「なに……コレ……凄いわーー!!」

「姫様!目の前の街道を物凄い速さで移動するのは、馬車の代わりでしょうか?人が乗っていますー!」

「人が多いです!聞いた事も無い音楽が流れている。体が自然に動きそうね」

「コレだけ人が居て街並みが綺麗だしかも

建物も一定の間隔で建っているぞ!」


「皆さん説明しながら歩きますので私達に、付いて来てください」


 左右に分かれて説明しながら歩くユイナさんとアズサは、さながら海外の人をナビゲートするガイドみたいだ。殿を歩く俺はボディーガードだな彼女達がやり過ぎないよう上手くやらなければならない。


うわー来たよ変な輩が……


 赤髪短髪と金髪ロン毛、赤毛は咥えタバコ、金髪はクチャクチャとガムを噛んでいる。まあチンピラだな。


 美女と美少女の五人組だ当然目が釘付けになるわな。ほら始まったら。


「ねぇねぇ!君達可愛いね僕達と遊ばない?良いとこ知ってんだ」


「そうそう、絶対面白いって行こうよ!」


「御免なさい、私達急いでいますので」


年長のユイナさんがやんわりと断った。


「いいじゃん、なら俺達も着いて行ってあげるよ!変な奴に絡まれても嫌だろ?

俺達がガードしてあげるから安心しな」


 お前達が嫌なんだとは、流石にユイナさんも言えなかった。


「さっきから何だお前らは、人の話す言葉も分からないエテ公なのか?」


「テメェ!下手に出てればいい気になりやがって!」


 あっ!不味いあいつら、オリビアに殺される


「よせ!ケンジ!ゴメンネこいつ口は悪いけど根は優しい奴なんだ。また今度あったら一緒に遊ぼうよ」


「そうか、そういう事なら考えなくも無い」


「約束だからね」


 ロン毛の男は相棒のケンジを押さえつけるように肩を組み愛想よく離れて行った。


 ふう、面倒を起こさないでくれよ頼むから。


「アニキどうしたんだよー!」


「コッチは二人だぞ!あんな良い女逃してたまるかよ」


「ああ、中居達を呼ぶんですね」


「そうよ、ケンジも分かるようになってきたな」


 肩を組んだままケンジの頭をグシャグシャになぜ回すアニキに嫌な顔をするケンジだった。


「おし、跡をつけるぞ!」


「へい!」


 その後何事も無く、いやすれ違う度に二度見三度見をされていた。


「まあ、俺の奥さんエルフだしな〜しゃあーないわ!」


「到着!ここで衣類を揃えるわよ」


 全国的に有名な衣料店だ。俺ポイントカード持っていたっけ。


「凄い全面綺麗なガラスなのね」

「わー!可愛い服が一杯あるよ」

「何処からはいるのじゃ」


「着いて来て!」アズサが自慢げに先頭を歩き自動ドアを開けて店内に入る。


「えっ!誰もいないのに扉が開いた?」

「クリスそういう仕掛けがあるんだ」

「へ〜凄いね、アレ私凄いしか言ってない」

「大丈夫だろマリアも口を開けているから」

「えっ?失礼しました」



「サイズを測ってもらいましょう

すみませ〜ん!」


「は〜い!ただいま!」


 商品整理をしていたお姉さんがやって来た。いらっしゃいませ!と軽く礼をする。


「こちらの三名の服とか色々と揃えたいので採寸お願いしますついでにお薦めもお願いします」


「はい、畏まりました。では……」


オリビア達を見て手が止まってしまった。


 分かるぞ!その気持ち、オッパイが大きいよなぁ。だからと言ってウエストもスッキリしている。マリアなんて腹筋が割れているしな。


「店員さん?」


「はっ!申し訳ございません!直ちに……

こちらのフィッティングルームにお入り下さい」


「あー、チョット待って」


「どうしたのじゃロウよ」


 俺は中身を確認したらやっぱりあったよ

盗撮カメラ。レンズの周りを黒いモヤで見えなくしてあげた。


「はい!どうぞオリビア」


「すまぬロウよ、またなのか?」


 俺は笑顔で答えたら、オリビアは察してくれた。


 サイズさえ分かれば後は早いと思っていたが、それが間違いだと直ぐに気付かされた。


 店員さんを入れて女子六人だ大きなブラを胸に当てたり、透けた赤いパンティを持ちこちらをチラチラみたりして、キャッキャッウフフと楽しそうだ。


「俺も少しは見て回るか」


 目に付いたのはワゴンセールのスエットの上下セット


「おっ!980円買い!」



 辛い……ただ見てるだけなんて……それと。


「ねえ、ロウこれと、これどっちがいい?」


「クリスは可愛いからどれを選んでも俺は好きだよ。そうだ両方着てよ」


「えっ……うん分かったわ」


うっひょー!恥じらうクリスさいこー!


「ロウ様、私では決めかねますので、ロウ様のご判断に従います」


「じゃ俺が決めるね。可愛いマリアには両方着て欲しいな俺からのお願い」


「えっ!ロウ様が言うのでしたら……」


モジモジするマリアも素敵だぞー!


「ねえねえ、お兄ちゃんどっちがいい?」


「右」


「えっ即答、なんで?」


「右の方が安いから」


「死ね!糞アニキ!」


 オリビアは?あっ好きなの選んでいるのですね。


「大体決まりましたね。それじゃ一人ずつ着替えましょう」


「ユイナ頼むのじゃ」




「おー!オリビアカッコいいぞ!」


 薄い色の細身のチノパン、ベージュのジャケット、インナーに白のTシャツは雄犬ブランドだって、ちゃんとブラも着けているぞ。


「どうじゃ、ロウよ」


「抱き締めてキスしたいです」


 クリスは白地にレースの花柄がついたロング丈のワンピースに薄手のネイビーのカーディガンだ。


「ロウ、どう?」


「凄く良いよクリス俺のが膨らんじゃった」


「まあ、ロウだったらもう!」


 マリアはデニムパンツに黒のこれまた雄犬ブランドのTシャツにメンズぽいジャケット、カッコイイのだ。


「ロウ様如何でしょうか」


「うん、直ぐにマリアとベッドに行きたくなったよ」


「うふふ、私ならいつでもおつけです」


「マリア……」

「ロウ様……」


「お兄ちゃん!コレ見てよ!」


「アズサ!お前お兄ちゃんが折角選んでやったのに高い方にしゃがって!」


「どうだ!可愛いだろ!」


「あん!まあまあだ……悪くない……」


「えっ……」


何赤くなってんだよ?


「ユイナさんはいいんですか?俺は元々お礼をするつもりですが」


「私は別に欲しい物が無かったからかな

矢島君はスエットの上下セットなの」


「これ、部屋でダラダラする時とか寝巻きにも使える。とても楽な優れ物ですよ」


「面倒なだけでしょ」


くっ!アズサのヤロー。


「ロウ様、そんなに楽なのですか?」


「おうよ!生地は伸びるし、締め付けないし、ゴロゴロしても平気な服だぜ!」


「そればっかり着てるとズボラになるけどね」


アズサめ!金払わんぞ!


「ロウ様私も欲しいです!うふロウ様とお揃いですね」

「ロウ私もよ!」

「じゃ余もだ」


「ふっアズサにも買ってやるよ!お前が一番似合ってるからな!」


「糞っ!兄貴め!」


「ユイナさんも「要らない」スエット……」




そんじゃ、終わらせるか。


「ロウよどこ行く」


 直ぐに片づきますのでと、片手をあげて店の奥に向かった。其処には真面目そうな男が品出しを行っていた。


「あの、お仕事中すみません、チョット宜しいでしょうか?」


「あ、いらっしゃいませ!はい!どの様なご用件でしょうか?」


「向こうの試着室何ですけど」


「な、何かありましたか?」


 尋常じゃない汗とこの動揺やっぱりコイツじゃん


「イヤね、私の妻が試着室に入ろうとしたら偶然に見つけたんですよ……貴方のカメラをね」


「何かの間違いでは、僕のカメラと言う証拠があるんですか!僕も店長としての立場が有りますので、然るべき手続きを取ってもいいのですよお客様!」


おっ、シラを切るか、なら。


「ケーサツ読んでお前の部屋のパソコンを調べて貰っても俺は良いんだぜ!

どうする?此処で大きな声でケーサツを呼んでもいいのか?」


「あっ……分かりました……」


「カメラは直ぐに回収しておけよ」


「あの、この事は……」


「別に此処の事は誰にも言わねぇよ」


「大変申し訳ございません」


「あーあ、奥さん達に服沢山買ったから

懐が寂しいよー!」


「それって……」


「サービスしてくれるならそれでいい。

アンタの社割とか……強制はしない」


「あっ、はい畏まりました」


男は観念した様だ。


「会計を願いね」








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