第13話 オリビアの手紙
ロウ達が冒険者になる為に帝都に向かってから少し経った頃、エルフ国ウッドストックでは、密かに女王陛下の捜索が行われていた。
「陛下は見つかったか!」
「申し訳ございません!未だ所在すら掴めていません」
「もう一度、陛下の部屋とクリスティーナ様の部屋を詳しく探れ!」
「はっ!」
ビアたんのやつ僕に内緒に何処にいったのだ!
ガストーは窓際に立ち遠くを見つめていた。
そして遠いあの日の事を思い出していた。
あれは、僕が父上に連れられて初めて城に来た時だ。もの凄く可愛い女の子が僕に微笑んでくれたのだ。
多分彼女もこの僕を見て直ぐに好きになったのだろう。それは直感て分かったのだ。
その後知ったのだが彼女はこの国の王女殿下であられ名をオリビア ウッドストック様と僕に教えてくれたのだ。
僕は運命を感じたのだ。きっと彼女は僕のお嫁さんになるだろうと、しかし彼女の10歳の誕生日に、コンコンコンだと!
イキナリのノック音にガストーは現実に引き戻されてしまったのだ。
「ガストー様、ゲリーでござます!
クリスティーナ様の部屋にて陛下がお書きになられた手紙を発見致しました!」
「何だと!入れゲリー!」
「はっ!」
ドアの外に立つ近衛兵がゲリーを室内に通すと慌ててガストーに近寄る。
「ガストー様コレにて御座います」
確かにビアたんの字だ間違いない。僕は急いで封蝋を開けようとペーパーナイフを取り出すと目の前にゲリーがいる事に気付いた。
「ゲリーよご苦労であった。下がってよい」
「はっ!ガストー様失礼します!」
ゲリーが退室するのを見届けると封蝋を解き中身を確認をして匂いを嗅いだ。
「ビアたんの匂いだ……胸が何故だか高鳴ってしまうよ」
まるで恋文を受け取った若者のようにニヤけながら読み進むとガストーの手が止まってしまったのだ。
「なんだと!あの男と共に帝都に向かっただと!僕のビアたんが僕になんの断りもなく城を抜け出すなんて……チクショウ!」
ガストーは心に耐え切られない黒い感情が広がっていくのを感じた。
「僕が先にビアたんを好きになったのに……
何処の馬の骨とも分からない猿とだと!
絶対許さんっ!!ぶっ殺してやるっ!!」
ガストーの情緒は激しく揺れ動く。
「ふぇ〜ん!ビアたんが寝取られた〜!」
ガストーは、執務室の机に伏せながら小一時間声にならない嗚咽を漏らしていた。
「……おい!」
「はっ!ここに」
「ロウと言う男を消せ、決して陛下に気づかれるな、そして苦痛を与えてやれ!奴自身が死を望むまでだ!行け!」
「御意」
影は消えた。
ガストーはオリビアの手紙を読み返した。
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ガストーよ、余は少しの間城を抜け出すが心配するな。
懸案だった資金調達も問題なくなり、
滞っておった復興を押し進めるのだ。
ただし、資金の不正は絶対に許さん!
余は王家に伝わる奥義の秘術を掛け、不正をした者の手がモゲる術を掛けておる。
皆の者には徹底して周知させておくのだ。
宝物庫の武器や魔道具は国の為、国防の為なら好きに使うと良い。
ガストーなら全て上手くやれると余は思うておる。暫く任せるぞ。
それとは別に余個人の事だが、余はロウと言う男と契りを交わしたのだ。
貞操結界を物ともしない男が、やっと余にも現れたのだ。
その日の内に余らは愛し合い沢山行かされて余は幸せなのじゃ!
結婚の儀は全てが落ち着いたのなら、国をあげて行いたいと思うぞ、勿論我らの金でだ。その事は安心せい。
オリビア
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「ビアたんが!ビアたんが……僕のビアたんが寝取られたー!」
殺してやる、殺してやる、殺してやる、
殺してやる、殺してやる、殺してやる、
殺してやる、殺してやる、殺してやる、
殺してやる、殺してやる、殺してやる、
殺してやる、殺してやる、殺してやる、
ロウめ!必ず殺してやる!!
「僕からビアたんを奪った罪を貴様の死を持って償わせてやるっ!」
ガストーは復讐を固く誓った。
その頃、ギルベート帝国皇帝ムジアサルト(41)の怒りは未だに収まらなかった。
「まだ、見つからないのか!たった2匹のエルフと召喚した男が!」
「はっ、帝都中に騎士や兵士が虱潰し捜索しております。近郊の町や村まで陛下の勅命としてお触れを出しております!直ぐにでも報告が来る筈です!」
「よいか!手足が無くとも構わん!
必ず生きてここにつれて来るのじゃ!」
「はっ!」
「陛下宜しいでしょうか」
横に構えていた。初老の貴族が畏まった。
「宰相のジンゴか、かまわん」
「臆病者の羽虫共は身を隠しながらエルフの里に向かっている筈です。そこを騎士団で追い詰めるのです途中で捕えても良いですが、そのままエルフの里に攻め入ってエルフ共を皆殺しにして羽虫共を絶望に落とし入れましょう」
「そうじゃな、勇者共も同行させようぞ」
「ありがとうございます。勇者達が好き勝手に暴れたなら二度と復興など考えられないでしょうその前にエルフは1匹も居なくなりますけど
ファハハハハハ!」
調子づいたジンゴは更に続ける。
「痛めつけてからボロな沙汰袋を着せて首に縄を掛け数珠つなぎに結び街道を晒しながら歩かせましょう。それを見た平民共も逆らうとこうなると、いくら馬鹿でも気づくでしょう!」
気持ち悪くニヤつくマジアサルトとジンゴ。
「うむ、好きにしろ!」
「はっ!」
「カスベ団長よ聞いていただろう。勇者を連れて向かうが良い!」
宰相ジンゴは近くに控えている騎士に命令を下したのだ。
「はっ!直ぐに出陣いたします!」
そのような事はつゆ知らず、ロウは嫁さん達の下着の納入を考えていたのだ。
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