大人に恵まれなかった子供
- ★★ Very Good!!
完結まで読ませていただきました。まずは完結おめでとうございます!
多分、作者様の思惑からは少し離れてしまいますが、特殊な才能に恵まれ、力も頭脳もすべてを手にしていたゲンリュウにこそ、私は心を寄せてしまいました
彼が増長し、誰の言葉も聞けなくなったのは、耳をふさいだ彼にも責任の一端があります
しかし、そうなる前に本当にどうすることもできなかったのか?
そう思うと全てが彼の自己責任とは言えなくなってしまう気がするのです
彼にもっと寄りそう大人はいなかったのか。何故優秀な彼がつぶれそうになる時、まっさきに手を伸ばす教師がいなかったのか
学生といえど、まだ子供。卒業した後という状況で優秀な人材がくすぶってるのを黙って見送ってしまったのか
たとえば学生時代に彼よりもっと優秀な師匠を紹介するなどできなかったのか。
士道不覚悟の文武両道のいびつさを正せる強い存在を示せていれば
邪険にされていたのに寄りそえた青年にはできたのに、大人はみな知らん顔していた
そんな大人にしか巡り合えなかった彼に同情してしまいました
だからこそ、エンディングで青年と心を通わせることができるようになった彼に、そんな思いをしたのならばこそ、同じ境遇の後輩ができたとき、容赦なくプライドを打ち砕いて諭せる強い人間になってほしいと思いました