Re:Destinya @ in.Fortuna.ne.jp

Yukl.ta

第1話

綾子は、自分が嫌いだった。

怖がりで、臆病で。

人に自慢できることなんて、何も無い。

人より優れたことも無く、誰かと争うのも嫌だ。蹴落とすのも嫌だ。

仕事でも人付き合いでも、どんくさい・気がきかないと言われる。

いつも誰かと比べられ、そのたびに、自信を失う。

そして「他の人はできるのに」「どうして私にはできないの」と自身に問う。


幸せって、何だろう。

気持ちのいいこと?

心地よいこと?

充実していること?

人それぞれなのだろう。

だが、綾子には、自分の幸せの形が、わからない。

どうすれば幸せになれるのかもわからない。

なのに、人並みに幸せを求めてしまう。

「好き」の言葉を聞くと、必要とされていると思える。

自分に自信がもてる。

それが、今の綾子にとって、一番、幸せなことだった。

だと思っていた。


その反面、綾子は、恋愛を怖いと思っている。

人付き合いを怖いと思っている。

拒否されたらどうしよう

ふられたらどうしよう。

嫌われたら、どうしよう。

まるで世界が自分を必要としていない。

そう感じてしまう事が、ただ、ひたすら、怖い。

いつも、そんなことを考えてしまう。

和泉綾子(いずみあやこ)。25歳。

25歳にもなって、何をつまらないことをいってるんだろう…、などとも思うが、そう感じてしまうのだから、仕方ない。

自分には、何もない。

どこにでもある、石ころ。

それは、先日に彼氏の…いや、今は元・彼氏の高田が放った言葉だった。


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