第46話 新たな空の下で

戦いの砂塵が消え、森には柔らかな光が差し込んでいた。

 傷ついた地面からは緑が芽吹き、鳥や虫たちの声が穏やかに響く。


 レイは仲間たちと共に小川のほとりに立ち、遠くに広がる森を見つめた。

 「……ここからだな。新しい世界は」

 肩越しにミラが微笑む。

 「うん。守るだけじゃなく、みんなで作る世界」


 リザード将軍は地面を踏みしめ、尾を軽く揺らした。

 「昔の戦いの傷はまだ残っている。でも、これからは共に歩める」


 モスキート女王は空を舞い、風に乗って仲間たちの上空を旋回する。

 【ここから先は、暴力ではなく共生の道だ。未来を選ぶのは、私たちだ】


 森の奥では、かつての戦士たちの子どもたちが新しい訓練を受け、飛び跳ねながらテレパシーの練習をしている。

 ホモサピ、爬虫属、モスキート属――それぞれの声と意思が交錯し、笑い声が森に響いた。


 砂塵を背にしていた戦士たちは、今は光の中で互いに手を取り合う。

 小さな冒険、未知の道、森や河、遺跡の探索――日常と冒険が交錯する新しい世界。


 レイは剣を帯びたまま空を見上げる。

 「……あの黒い球体も、過去のこと。今は俺たちの未来を守るんだ」

 ミラがそっと手を握り返す。

 「未来は、私たちの心次第。誰も一人じゃない」


 遠くの山脈を越え、川を渡り、森の奥深くへ。

 彼らの冒険はまだ始まったばかりだ。

 そして三種族は、それぞれの違いを超え、互いを尊重し、共に生きる力を学びながら、新しい世界の道を歩き始めた。


 砂塵の戦いは過去のもの。

 光と希望が芽吹く世界で、三種族の絆は風に揺れる葉のように柔らかく、しかし確かに結ばれている。


 ――新しい時代、新しい空の下で、命は繋がり、未来は再び光を取り戻すのだった。

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