第45話 未来への光
黒き球体が砕け散り、砂塵に包まれた戦場に静寂が戻る。
遠くで、かすかな風が荒れた大地を撫でる。
戦士たちは膝をつき、深く息をつく。
レイは倒れた仲間たちのもとへ駆け寄った。
カイの姿はもうないが、胸の奥にはその意志が生き続けている。
「……俺たちは前に進む。お前の願いも一緒に」
ミラは光の残滓を見つめ、仲間たちに語りかける。
「戦いは終わった。だけど、これからが本当の試練。命を繋ぐ未来を、みんなで作らなくちゃ」
リザード将軍は尾をゆっくり振り、目を閉じた。
「犠牲はあった……だが、ここからが俺たちの誇りだ。生き残った者たちで、未来を守る」
モスキート女王は羽を広げ、深い複眼で戦士たちを見つめる。
【共に戦えたことを誇りに思う。お前たちの心が、種族を超えた絆となったのだ】
戦場には、砕けた石や砂、血の跡が残る。
しかしそれ以上に、希望の光が差し込んでいた。
それは、戦士たちの心の中に芽生えた「未来を繋ぐ力」の象徴でもあった。
小さな芽のように、互いの信頼と絆が戦士たちの周囲に光の輪を描く。
ホモサピも爬虫属もモスキート属も、過去の争いを越え、同じ空の下で未来を見つめる。
ミラはそっと拳を握り、心に誓った。
【これからは守るだけじゃない。みんなで未来を創るんだ】
遠く、砕けた球体の残光が、戦場を照らす。
それは破壊の象徴ではなく、命をつなぐ光――新しい時代の幕開けを告げる光だった。
涙も、痛みも、すべてを乗り越えた戦士たちの胸には、静かで確かな希望が息づいていた。
――未来はまだ、ここから始まる。
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