第44話  共鳴の一撃 ― 黒き巨体を討つ

砂塵舞う戦場に、心を一つにした光が螺旋を描く。

 レイの剣、ミラの意志、リザード将軍の尾、モスキート女王の羽――全ての力が一点に集中する。


 【今だ……行くぞ! 全員、心を合わせろ!】

 ミラのテレパシーが、戦士一人ひとりの意識に届く。


 戦士たちの鼓動がひとつに重なり、光が球体の黒い表面を包み込む。

 触手が暴れようとするが、光の奔流に弾かれ、動きは止まる。


 「これが……俺たちの未来だ!」

 レイが叫ぶと同時に、剣を中心に叩き込み、光の衝撃が亀裂を裂いた。


 ミラは球体の心に直接テレパシーを送り、闇の意思に呼びかける。

 【もう、暴力では支配させない! 命は繋ぐためにある!】


 女王が羽を広げ、空気の波動を共鳴させる。

 リザード将軍は大地を叩き、衝撃を光に変える。

 ホモサピたちは互いの動きを完璧に同期させ、刃と槍を一点に集中する。


 球体の表面に走る漆黒の光が、激しく振動する。

 亀裂は裂け目を超え、中心へと貫通。内部からうなり声のような反響が戦場に響いた。


 「いくぞ……一気に!」

 レイの合図で、全員の力が爆発する。

 剣と槍、尾と羽、意志の光が重なり合い、球体の中心に突き刺さった瞬間――


 轟音とともに黒い巨体が裂け、漆黒の光が砕け散る。

 球体の心から、かつての暴力と支配の意思が消え去り、戦場には光だけが残った。


 砂塵の中、戦士たちは息を整え、互いの顔を確かめる。

 レイの肩に手を置いたミラの瞳が、希望で揺れた。

 「……やったんだ……」

 リザード将軍も尾を地に打ちつけ、深く息を吐く。

 女王は静かに羽を畳み、戦士たちを見渡す。


 三種族の心が繋がった結果、戦場は破滅ではなく「未来への道」を手に入れたのだ。

 死と破壊の影を乗り越え、光の共鳴は、命を繋ぐ力として、ここに刻まれた。

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