第43話 心の共鳴 ― 追い詰める黒き巨体
砂塵の戦場に、静かな決意の光が広がった。
レイ、ミラ、リザード将軍、モスキート女王──心を繋いだ四人を中心に、三種族の戦士たちの鼓動がひとつになる。
【今だ……全員、集中! 心を一つに、力を束ねろ!】
ミラのテレパシーが全員に届き、声ではなく「意志」として響く。
爬虫属は大地を蹴り、鱗に宿る振動を共鳴させる。
モスキート族は羽音を増幅させ、空気の波を一つの矢のように変える。
ホモサピは剣や槍、矢を握り、互いの動きを微細に調整しながら、力を一点に集中する。
球体は黒い触手を伸ばし、破壊の波動を再び放とうとした。
だが、その波動は三種族の心の光に弾かれ、触れる前に反射する。
「行くぞ……一斉攻撃だ!」
レイが叫ぶ。
瞬間、全員が動く。
爬虫属は地面を裂き槍を突き立て、モスキート族は羽で切り裂く衝撃波を作り、ホモサピは剣で球体の亀裂を狙う。
光と闇がぶつかり合う。
球体はその巨躯を振り回し、触手で抵抗するが、連携の光はまるで“意志の矢”のように中心に迫る。
ミラは球体の心にテレパシーを伸ばす。
【暴力ではなく、心で繋がる力を受けよ! これが私たちの未来だ!】
女王が力強く羽を広げ、全軍の意識を一点に集める。
リザード将軍が大地に尾を打ちつけ、振動を増幅させる。
レイが剣を振るうと、その衝撃は仲間の力と重なり、球体の表面に光の亀裂が走った。
「効いてる……!」
ミラの声に、全員の心がさらに共鳴する。
亀裂はゆっくりと広がり、黒い光が歪む。球体は暴れようとするが、その暴力は逆に光の奔流に包まれ、力を奪われる。
「行け……心を繋げたまま、一気に押し込むんだ!」
レイの叫びと共に、全員の意志が球体の中心へと集中する。
球体はうなり、触手を振り回すが、心の共鳴によって動きは鈍り、徐々に制御されていく。
砂塵の中で、剣と羽、槍と意志の光が絡み合い、球体の表面に深い亀裂が走った。
それは破壊ではなく、封印でもなく——
「未来を守るための道筋」として、戦士たちの心に刻まれる光だった。
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