第34話 戦局の奔流
砂塵の中、羽音と叫び声が渦を巻く。
レイは剣に血を滲ませ、肩や腕に深い傷を負いながらも、仲間の背を守り続けた。
ミラも腕や脚に擦過傷を負い、足元に散らばる羽や砂の上を滑るように動く。
「諦めるな……!」
レイの声は嗚咽に近い叫びとなり、仲間の士気を繋ぎ止める。
だが、モスキート族の数は圧倒的で、ホモサピたちは徐々に押し込まれていた。
空を埋め尽くす羽音に、視界が揺らぎ、前線の防御が破られる。
「まだ……まだ耐えられる……!」
ミラは仲間にテレパシーで指示を飛ばし、互いの動きを最小限の隙間で連携させる。
だが、次々と押し寄せる敵の数に、体力も精神も限界に近づいていた。
その時、遠くの岩陰から重厚な足音が響く。
「リザード女王……?」
レイが驚きの声を漏らす間もなく、爬虫属の兵たちが戦場に駆け込んできた。
リザード将軍は尾を振り、敵を次々に薙ぎ倒す。
「我らも共に戦う!」
女王の冷静で力強い声が、戦士たちの士気に火をつける。
爬虫属の加勢により、ホモサピとリザードの連携攻撃が次々に決まる。
モスキート族は突然の二方向攻撃に翻弄され、混乱の渦に巻き込まれる。
レイとミラは互いに傷を押さえつつ、連携攻撃に加わり、テレパシーで仲間を誘導する。
「今だ、集中攻撃! 一気に崩す!」
ミラの指示で新世代の戦士たちも動き、ホモサピと爬虫属が左右から敵を挟み込む。
砂塵と羽音、剣と爪の衝撃が混ざり合い、戦場は怒涛の光と影の渦となった。
圧倒的な数で優勢だったモスキート族は、リザード女王と将軍たちの戦術眼と力により、次第に押し返される。
レイの剣が空を裂き、カイの犠牲を胸に刻んだ仲間たちが渾身の力で反撃する。
戦場全体が最高潮に達し、羽音は怒号に、砂塵は炎のように舞い上がる。
「これが……俺たちの力だ……!」
レイは叫び、ミラも涙を拭いながら拳を握り、仲間と共に再び前線へ踏み込む。
――仲間の犠牲と絆、そして爬虫属の加勢により、戦いの流れは大きく変わり始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます