第32話 テレパシーの戦場

遺跡の闇が押し寄せる。羽音が渦のように重なり、空気は震える。

 レイは剣を構え、仲間たちと無言のテレパシーで意思を通わせた。


 【右に集中! 一気に崩す!】

 【受け止める! 突進を跳ね返す!】

 【回り込み、援護する!】


 命令も声もない。だが、全員の動きは完璧に噛み合い、まるで一つの体が複数の剣を操っているかのようだった。


 突如、モスキート族の戦士が跳躍し、鋭い針を振るう。

 レイは空中で剣をひねり、針を受け流す。

 同時にカイが後方から飛び込み、敵の体を地面に押さえつける。

 【今だ! 斬り込め!】

 仲間の声がテレパシーで届き、次々と攻撃が重なる。

 針が砕け、羽が散る。モスキート族は翻弄され、闇の中で悲鳴を上げた。


 一方、ミラは敵の心を読む。

 【左へ回り込む――狙いは私か――!】

 敵の次の動きが鮮明に見える。

 ミラは瞬時に仲間の動きを誘導し、逆方向から包囲する。

 仲間たちは無言で指示を理解し、敵の攻撃をかわすと同時に逆襲。

 針が空を裂く前に刃が交錯し、モスキート族はさらに混乱する。


 「カイ、右! 俺が援護する!」

 レイが叫ぶと、カイは前方の敵を蹴り飛ばしつつ、後方でレイが斬り込むタイミングを合わせる。

 その瞬間、テレパシーで繋がった仲間全員が、左翼・右翼・後方・前方の敵を同時に打ち破る。

 遺跡全体が戦いで震え、羽音が怒号のように響き渡る。


 ミラはさらに一歩踏み込み、敵の思考を逆手に取った。

 【跳ぶ――左に避ける――そして私を追う――!】

 その動きを読んで仲間が瞬時に移動。

 敵が狙った瞬間に逆側から一斬り。モスキート族は空中で翻り、闇に消えた。


 砂塵と羽が舞い、剣と羽がぶつかる衝撃で岩壁が崩れ落ちる。

 レイは跳躍し、空中で仲間と刃を合わせて連携技を放つ。

 カイは鋭い牙で敵の足を捕らえ、仲間が同時に斬る。

 一撃ごとに、テレパシーで互いの動きが微調整され、攻防は完璧なシンクロを見せた。


 ミラのチームも同様に、敵の心を読む→先回り→仲間の反撃誘導、という高速心理戦+肉体戦を展開。

 敵は攻撃の意図を読まれて混乱し、次々に後退していった。


 闇の中、光と影が交錯し、羽音と剣の衝撃が遺跡を震わせる。

 新世代兵士たちは呼吸を合わせ、互いの心を感じ、戦場で「一つの存在」となった。

 テレパシー連携と敵の心を読む戦法が融合し、戦場はまさに思考と肉体の共鳴でうねる。


 「これが……未来を守る戦い方だ!」

 レイが拳を握り、ミラも仲間の肩に手を置いた。

 血と砂塵にまみれながらも、戦士たちの瞳は鋭く光る。

 敵もまた、必死に生き延びようとする意志を胸に抱えている。

 しかし、レイたち新世代兵士の連携と反撃は、まさに未来を切り開く力となっていた。

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