第14話 ミッション:屈辱と引き換えに友達を得よ

「それで…、分かってくれたかしら?大翔と話したい理由」


 授業の間休憩を使って話を聞いて昼休み、俺は鳳凰院にそう問われた。


 一緒に食べてる理由?んなもんねぇーよ、成り行きでそうなっただけ。

 ただ、鳳凰院がクラスの女子に「一緒に食べない?」と聞かれて、「ごめんなさい…、轍君と食べるの…」と言った時の俺に向けてくる視線ときたら気分が悪くなった。


 話を掻い摘んで聞いた情報を整理すると

 ・許嫁であったこと、解消はされているが、まだそうなる可能性があること

 ・喧嘩別れしていること。金持ちの常識なんてわからんが、家同士のいざこざで別れただけであって鳳凰院に気持ちがあること。

 

 そして——

 

 ・また以前のように話がしたいだけで復縁を望んでるわけではないことだ!

 

 あれ?これ結構余裕じゃね?別にあいつとアイツを引きがして鳳凰院とくっ付ける、鬼ムズミッションだと思ってたのに拍子抜けした。俺の憶測は杞憂に終わったのだ。


 俺が関わるほどではない。他の奴に頼んでもできそうなことを俺に頼んでるのが、ちと気になるが、俺があいつとヨリを戻す必要もないってわけだから簡単にできよう。それに


無料ただってわけじゃないんだろ?」

 そう聞くと軽蔑の眼差しで体を抱きながら答えた。


「……。ケダモノ!」

「なぁんでそーなる!?」

 こいつは俺のことなんだと思ってるんだ。そんな飢えてそうなんかワシは!


「冗談よ。私にそんなことしたら、ただじゃ置かないわ。貴方のお父さんの首「クビ」が飛ぶことね」

 

 えぇ…、怖すぎ。なんか含みない?父さん倒産どころか倒産ひとみごくうにされてないか?まぁいないんだけどね。


「鳳凰院グループのホテルで無料宿泊とかどうかしら?」

「……。家のこと嫌いな割には家の力をつかうんだな…」

「当然よ。私はどうあっても鳳凰院には変わりはないもの…。それに使えるものは使うって決めたから」

 

 鳳凰院の瞳には覚悟が宿っていた。羨ましいよ、離れてもずっと好きな相手がいるなんて。


「いや、いいよ。その代わり一つ頼みがある」

「何かしら。彼女になってくれってことならお断りするわ。昨日の彼の弔い合戦かしら」

 

 昨日転校してきてもう告白されてるらしい。この顔なら当然っちゃ当然か。


 一呼吸置いて、さっきの茶化した空気を入れ替える。少なくとも今まで自然にできてたけど、これを言うのは初めてだな。頭を下げて


「——俺と友達になってください!」


 返事がない?俺って友達すらノーサンキューなんかな…。

 恐る恐る顔を上げて鳳凰院を見やると、とても神妙且つ驚いた表情で見ていた。


「フフッ…。以外ね。もっと凄いこと要求されると思ったわ」

「いや、これでも真剣なんだわあ」

「分かってるわよ。ただ、噂通りの人なら、身構えるのは至極全うだわ」

 たしかに言われてみればそうか、てかあまり気にしてなかったけど噂って誰が流したのだろうか。


「いいわ。フフ…貴方と私はお友達よ」

「あぁ…ありがとう」

 バカにしたような嘲笑ヤメテネ。


 ここで一つ気づいた事がある。俺は当初、鳳凰院のことは反りが合わないと思っていた。高圧的だし、俺には敵意剥き出しだし、でもそれは俺との関係のせいで、アイツとの関係がまた拗れるの懸念してであっての行動で、噂を鵜呑みにして向けた感情ではない。


 決して、進んで排斥しようとしている訳でない。


 俺にとってはそういう考えの人がいるってだけでありがたいし、鳳凰院は本当にヤな奴って訳ではないのだろう。そんな鳳凰院が好きなアイツが人の彼女を取るって奴にみえないって考えにも自然となってくる。

 

 大方、あいつが俺と付き合ってるのを黙ってアプローチしたのだろう。


 ともかく、俺はそんな不器用でどこか人間臭い鳳凰院を好きなってしまった。勿論人間的な意味で。

 この先の行く末がどうなろうと鳳凰院を応援したいと思えるほどに。


 昼食を終えて、残りの授業を消化し、あいつの連絡先のブロックを解除し、メッセージを送って、夜を待った。

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