創作論、その前に
アライコウ
何より大事なことは……
カクヨムでもSNSでも、創作論の絶えない日はないようです。
Web小説に合った書き方というのは確かにあり、私も人気作を参考にしながら、適度な行間を空ける、各話の終わりは続きが気になるようにする、といった調整をしています。
小説の技術的なこと以外でも、たとえば――
どうしたら読まれるか?
どうしたらランキングに載るか?
どうしたら効果的に宣伝できるか?
といった話題が常に界隈を賑わせています。
しかし何より大事なのは、毎日コツコツとアップすることでしょう。
序盤のうちは、一日に2回や3回アップして露出を高めるのを推奨する人もいますね。
ともあれ毎日、休みなくアップする。
PVを増やすために、これ以上に大事なことはないはずです。
では、実際に毎日コツコツとアップするにはどうしたらいいのか。
これは創作論以前の問題になります。具体的にはメンタルの問題です。
私は普段、ゲームシナリオライターとして生計を立てています。ゲーム業界に身を置く傍らWeb小説に挑戦、という人は少なくないようです。
私が本業でメシを食えるようになったのは、実はわりと最近……6年前くらいのことです。それより以前は、しっかり貯金してから実家から独立したはずが計画通りいかず、アルバイトをやりながらどうにか食いつなぐという生活をしていました。
というか安定したシナリオの仕事などなく、ほぼアルバイト中心の生活でした。生活費がピンチで、キャッシングに頼ったこともありました。ある日、引っ越しのバイトに行ったのですが、まったく役に立てず罵倒されたのは今もちょっとしたトラウマです。
この頃の心身の調子は、肉体はともかく精神的には辛いものがありました。ようやく実家を出て一人前になったのにな、こんなはずじゃなかったのにな、と。
その頃はWeb小説には関心がなかったのですが、あったとしてもまともに取り組むことはできなかったでしょう。家賃を払えないかもしれない、そもそもまともに食えないかもしれない恐怖、これは筆舌に尽くしがたく、日々の生活を萎縮させます。
幸いある時期からクライアントに恵まれるようになり、今はひとまず安定した生活ができています。
そしてメンタルにも余裕があります。やるべきことは山積みで忙しいですし、長年のデスクワークがたたって最近は目・首・肩がだいぶ辛いですが、ろくにシナリオ仕事がなくて本当に辛かったあの時期に比べたら、まったくどうってことないのです。
これからは小説も仕事にしていきたい。そう思ってカクヨムに投稿していますが、なかなか道は険しいです。他の人の書籍化報告やランキング上位を見ながら「うらやましい!」と思わずにはいられません。
しかし「自分はちゃんと食えてるしな」と思えば、その悔しさもだいぶ減ります。
何しろ、Web小説で注目されることが最優先ではないのです。
私も小説家デビューを目標にしていますが、それは今後面白い人生を生きるための、あくまで方法のひとつとして考えているにすぎません。
だから注目されていないからって、そこまで落ち込んだことはありません。
メンタルに余裕を持つにはどうしたらいいか?
まず、しっかりと食い扶持を稼いで、衣食住の満ち足りた生活をする。
プロの小説家でも兼業の人が多いのは、これが理由です。小説一本ではそう簡単には食えないことを知っているし、編集者もデビューが決まった新人に「仕事は辞めないでください」とアドバイスするといいます。
自分はしっかり生活できてるよという人は、きっと大丈夫です。
自活している、納税している、社会の一員になっている。これが人間の精神と尊厳を保ちます。
いい小説は、その余裕から生まれるはずです。
追い込まれてこそ良作が書けるなんて人は、どこかにはいるかもしれませんが、きっとあなたのことではありません。
怪我や病気をしているなら、もちろんまずはそれを治すことを最優先にしましょう(差し支えがなければ治療しながらでもいいでしょう)。
まとめです。
【読まれないなんて、実はぜんぜん大した問題じゃない】
今しっかり生活できているなら、それが何よりの(もしかしたらそこらのプロ作家・クリエイター以上の)あなたの強みであり、安定したペースの執筆と将来の良作・注目作を書き上げるための力になるのです。
ちゃんとメシを食ってメンタルを安定させる。あちこちに散らばる創作論に目を通すのは、それからでも遅くありません。
何を長々と当たり前のことを……と思われたとしたら、あなたはなおさら大丈夫です。
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カクヨムコンテスト11にラブコメ作品でエントリーしています。よろしければこちらもお読みいただけると嬉しいです。
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創作論、その前に アライコウ @araicreate
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