好きな本 アカサタナ

遠山ゆりえ

第1話

 読書の秋ということで、好きな本をア行からワ行まで一冊ずつ挙げていきます。(漫画は除く)思いつくままなので、かなり適当です。人によってラインナップは大きく異なるでしょうが、私のはこんな感じです。


ア行 『アルジャーノンに花束を』

    ダニエル・キイス著


 SFです。映画にもなってますが本で読んだほうが面白い。主人公チャーリーの日記の、文体や内容の変貌が肝です。アルジャーノンは研究用ネズミの名前です。約60年程前に発表された作品なので、今はもっと進んだ研究が実際にされてるんでしょうねぇ。教授に宛てた手紙で終わってます。追伸の一文で涙腺崩壊してしまいました。


カ行 『貝の火』

    宮沢賢治著


 数ある賢治作品の中で『土神と狐』とならんで好きなものです。うさぎのホモイが悪事を働いても貝の火が美しく輝きます。しかし最後には……。これ、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』にそっくりではありませんか!ワイルドのほうが30年先に発表してますから賢治が読んだ可能性ありです。それでも名作には違いありません。


サ行 『春琴抄』

    谷崎潤一郎著

 

 何度か映画になってます。盲目の三味線弾き春琴と佐助の物語です。昭和初期に発表されていて、古文と言うわけではないのですが慣れないと読みづらいです。火傷をして醜くなった春琴を見られないように、佐助が自分の目に針を刺す場面は有名です。佐助は完璧にМですね~。究極の愛を描いた作品です。


タ行 『タトゥーママ』

   ジャクリーン・ウィルソン著


 タトゥーのあるアル中シングルマザーとローティーンの2人の娘のお話です。ママはネグレクト気味で大人に成り切れていません。そんなママを愛する10歳の娘の目線で描かれています。はたから見れば悲惨ですがポップな筆致です。作者はイギリスのYA(ヤングアダルト)文学の第一人者。子供の心理を書くのが上手です。こんな子供達が世界中に沢山いることでしょう。最後は涙・涙でこの家族の幸せを願わずにはいられません。


ナ行 『眠れる美女』

    川端康成著


 『眠れる森の美女』ではありません。ノーベル賞作家の短編小説です。これ川端康成のエロ爺ぶりが存分に発揮された作品ですね!

今でもこんな風俗店や秘密倶楽部がありそうです……。単なる官能小説ではなく美しい文体で、老い・母・性・死などを描く力量は流石です。


ハ行 『星の王子さま』

    サン・テグジュペリ著


 私が幼稚園児のある日、何故か母が買ってくれた本です。ベストセラーだったようです。私はどちらかといえば『人魚姫』の絵本のほうが好きでした。「うわばみ」や「バオバブの木」という言葉をこの本で知りました。平易な文章なのですが奥が深いお話です。作者は飛行機が発明されてからそれ程経っていない頃に、プロのパイロットだったと後で知りました。不時着した時に王子さまと本当に出会ったのかもしれません。


マ行 『メニム一家の物語(シリーズ)』

    シルヴィア・ウォー著


 イギリスの作者による全5巻の児童文学です。大人になってから初めて読んだのですが面白くて一気読みしてしまいました。登場するのは布製の等身大の人形達。家族で一軒家にひっそりと暮らしています。かわいいファンタジーではありません。布の人形が意志を持ち動き回っています。本当だったらホラーです。彼等は自分達が異端のものであることを十分理解しています。だから人間に見つからないように気をつけています。悩みや楽しみや苦しみもあります。ミステリーな要素もありハラハラドキドキする場面も展開します。魂や生命って一体何なのだろう!?と考えさせられられる作品です。児童文学の中で一番好きかも。(ピクサーが映画にしてくれないかな……)


ヤ行 『夢十夜』

    夏目漱石著


 「こんな夢を見た」で始まる10のお話。星新一の「ノックの音がした」で始まるお話ではありませんが、文豪のショートショートは秀逸です。女に「百年待っていて下さい」と言われた男の夢など、美しくて不思議な雰囲気の物語です。芥川龍之介が書いたと言われたら信じてしまいそうです。(両方の作者に対して失礼でしょうか!?)


ラ行 『ライ麦畑でつかまえて』

    J・D・サリンジャー著

    

 裕福な家庭のホールデンが高校を退学になった何日間かの出来事が描かれてます。若い頃はホールデンに共感したのですが、すっかり大人になってしまった今の感想は「自分の息子が、こんな風に感受性が強くて考え過ぎるガキでなくてよかった!」です。保護者の立場から見れば、危なっかしくてしかたありません。ホールデンはこれからの人生をどうやって生きて行くんでしょうか?サリンジャーは2010年に90代で亡くなりました。(かなり長生き!!)


ワ行 


 最後のワ行ですが思いつきません。『若草物語』とか『我輩は猫である』などの名作があります。が、そこまで思い入れがありません。ノーベル賞作家カズオ・イシグロの『私を離さないで』はまだ読んでないのですが一度読みたいです。(クローン、臓器移植と言えば映画『アイランド』を連想してしまいます)


 皆さんも、ご自分の好きな本をアカサタナで挙げてみてはいかがでしょうか?

    

    







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