『16barsの鼓動』第三十章(改定完全版)

 代表決定戦の前夜。

 ことねは町田駅前の広場に立っていた。

 イルミネーションの下、通りすがる人々が「Silent Riotって子たち、明日だよね」と噂している。


「……町田全体が見てる」

 ことねの胸が高鳴った。


 サイゼリヤには、すでに仲間たちが集まっていた。


モケ女組(東雲&鮎原)

「明日が決勝かぁ。青春してるねぇ」

「負けるなよ。模型も音楽も“熱”が命だ」


震感少女組(響&詩織)

「……鼓動が町田中に広がってる」

「これは怪異じゃない。町田がひとつになってるのよ」


明日の弁当組(めぐる&星南)

「明日は特製弁当作ってくるから! 勝負飯だよ!」

「唐揚げ倍増ね!」


橘姉妹

「町田の青春が詰まってるんだよ! 明日勝ったら、歴史に残る!」

「うちらも声枯れるまで叫ぶから!」


北山望

「Silent Riotは町田の宝! 女子高生は文化遺産!!」

 →即退場。


植村さん

「ほんと……応援団が多いのね。北山くんも少しは落ち着きなさいよ」


 ことねは仲間たちの顔を見渡し、胸が熱くなった。

「……みんな、ありがとう」


 彩葉が手を差し出す。

「明日は勝とう。町田のために!」

 芽依も静かに頷いた。

「……粗くてもいい。響かせる」


 三人の拳が重なる。


 夜。忠生公園。

 猫丸とみのたが並んで空を見上げていた。

「町田の鼓動が、明日一つに鳴る」

「おばちゃんも適当なこと言ってるだけだよ〜」

 べすは月に向かって大きく吠えた。


 Silent Riot。

 町田代表決定戦を前に、彼女たちの鼓動は最高潮へと高まっていった。

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