四 露西亜組と宇克羅組の抗争①
──おやっさん、いかんですけぇ!どうか、こらえてつかぁさいっ!
お願いじゃけぇ!どうか、今だけは引いてつかぁさい!
一方の
──何やってんすかおやっさん!気持ちは分かりますが、一旦落ち着きましょ!
「ワレェ!
おどれ、ワシのことおちょくっとるんじゃなぁ、えぇ!?
おどれも
そがぁな筋の通さん真似しよって、何様のつもりなんじゃコラァ!
指詰めて
額に青筋を浮かべた
「コラァ!
テメェ、紋付袴も持っとらんのんかい!?あぁ!?
ウチの親分を舐めくさっとるんじゃなぁ、コラァッ!!
その身なりでこの席に上がるとはのぉ──覚悟ぁできとるんじゃろうがいッ!」
「露西亜組の言いなりになれってか?ウチのシノギを亜米利加組に差し出せ?
しかも兵隊は貸さねぇってんだろ?
舐めてんのはどっちだコラァ!ブチ殺すぞ、テメェ!!」
同席していた実話雑誌の記者は、この組長達の怒鳴り合いに戦慄し、ガタガタと部屋の隅で抱き合って震えている。
「貫目も足らん青二才が──ワシに盾突いてきよってからに……。
どがぁいうつもりなんじゃ、ワレェ!?
失せんかい、バカタレがッ!!」
亜米利加組と宇克羅組のナシ付けは、物別れに終わった。
*****
「すまねえ、
宇克羅組本家事務所に戻った
『実話任侠アメリカン』を片手に、
「いや、おやっさん、オレはあなたに惚れました。一生ついていきます。
…しかし酷い書かれようです。コイツらカチコミ入れてやろうか…」
「ッだと?『あの野郎はじきに泣きべそかいて詫び入れに来る』だと?…誰が行くか馬鹿野郎め。」
言葉とは裏腹に、
…本当に、酷いかけ合いだった。
亜米利加組は従来、露西亜組が『覇権国家』に変貌することの無いよう、距離を保ちつつ、盃を交わしている兄弟筋の組が露西亜組に接近しすぎないよう立ち回ってきた。
しかし
幾度となく電話で話していた。
「ンなもん、
ウチの組に、いったいなんぼゼニ使わせる気とや……?」
こう言い放つ
「宇克羅組、シノギを半分渡すって言うてますぜ。」
その言葉に、
「ガハハハッ!ウチも散々チャカ送りよったけぇのォ──今さら驚くような話じゃなかろうが。
しかし、掛け合いはこじれた。
それに対し
そして露西亜組との手打ちについても、「
じゃけぇど──ちゃんとエンコ詰めて、これまでの不義理の詫び入れてもらわんと、話にならんけぇの。」とのことだった。
…こんな条件は飲めるわけがなかった。
──その時、組長室の電話が鳴る。
「はい、宇克羅組本家!」
1コールが鳴り終わる前に、若衆が電話を取る。
「……おやっさん、
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