片目の猫

片目の潰れた猫がいる。

いつの間にか、そばに来て、餌をねだるだけ。


痩せ細った背中にそっと手を伸ばすと、すっと身をかわす。

決して触れさせない強い意志が、片目の瞳に燃えている。


「あなたは孤高なのね。」

呟きかけると、短くニャーと鳴いた。


触れたいけど、触れさせない。

なのに、そばに寄り添ってくる。


猫って、ほんとに可愛くない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る