芋虫
クルマのフロントガラスに、小さな芋虫が這っていた。
緑色の体色は少し透けて、命の活動が見える。
私は何の気無しにワイパーをかけた。
芋虫は一瞬で潰れ、体液の残骸だけがガラスに残った。
朝の眩しい光が、その芋虫だった物体を、キラキラと眩く輝かせる。
その輝きを、素直に綺麗だと感じた。
私が消した命なのに、その残骸は美しい。
人間のエゴ、傲慢を写す、一瞬の美しさだ。
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