黄昏の海

ヒロ

第1話 黄昏の海

さざなう波が窓の外を撫でる。

沈みゆく夕陽は赤を黒に溶かし、

星がひとつ、またひとつと顔を出す。


筆を走らせれば色は滲み、

影は広がる。

やがて手を止めると、

白く冷えた紙だけが残った。


遠い声に誘われて目を閉じれば、

海が果てなく広がる。


黄から赤、赤から闇へ、

ただ移りゆく色の中で、

私は景色を見続けた。


覚めて再び描き始めると、

布の上で色たちは重なり合い、

黄金の海が煌めいた。


額縁の中で、

波の声に溶け込むように、

私は黄昏とひとつになった。

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黄昏の海 ヒロ @hiro0717

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