天気予報

小悪魔はく

第1話

最悪さいあくだ。すごく最悪さいあくだ。


なんでこんなになげいているのかって?


天気予報てんきよほうれで、天気予報てんきよほうのどこにもあめることなんてかれていなかった。

それなのにそと土砂降どしゃぶり。

おまけにかさはおろか、雨合羽あまがっぱなんてってきていない。


それに今日きょうはとことんうんわるい。

星座占せいざうらないは最下位さいかい普段ふだんはこけないところでこける。


これをなげかないやつがどこにいる。


明日あしたあめらないし、荷物にもつおおいからいていこう、だなんてバカみたいな判断はんだんをした昨日きのうぼくを、なぐれるものならばなぐりたい。


突然とつぜんしたあめは、かわいた道路どうろ草花くさばならしてゆく。


あぁ。かみ爆発ばくはつしてる。ほんとに最悪さいあくだ。

まわりからのいたい。自意識過剰じいしきかじょうなのはわかっているが、

まわりからこえるコソコソばなし自分じぶんたいする悪口わるぐちだったらどうしよう。


かんがえるだけでいたい。


これだからあめきらいなんだ。大嫌だいきらいだ。

天然てんねんパーマ、いわゆるてんパのぼくは、すぐにかみ爆発ばくはつする。

おまけに癖毛くせげだから余計よけい。これじゃ実験じっけん失敗しっぱいした博士はかせみたいじゃないか。


はやくかえりたい。


1520ぷん下校げこうのチャイムがる。チャイムのおととほぼ同時どうじ教室きょうしつを出る。

こんなところに長居ながいしたって意味いみないからな。はやかえって風呂ふろに入りたい。


「はぁ。マジの土砂降どしゃぶりじゃん、、、、気分下きぶんさがるわ。」


そういいながらはしりだそうとしたとききゅううしろからこえをかけられた。


『ねぇ!かさ、ないの?』

「えっ、!?どわっ、!?」


おどろいた拍子ひょうしあしすべらせてしりもちをつく。最悪さいあくだよ本当ほんとうに。今日きょうはとことんうんわるい。かみぼくなんうらみがあるんだ。ぼくなにをしたっていうんだよ。おまけにへん声出こえでたし。


『あっ、ごめん、そんなにおどろくとおもわなかった、

 てる?すよ。』

「あ、うん。ありがとう、ごめんね、」

『んーん!』

「じゃぁ、ぼくはそろそろくね、」

『あっ、ねぇ、ちょっとってよ。きみかさないんでしょ?』

「まぁ、うん。そうだけど、」

わたし、もう一本傘持いっぽんかさもってるからよかったら使つかって!』

「え?でも、」

『いいから!こまってるひとたすけるは当然とうぜん

 それに、かさ明日あしたかえしてくれればいいし。』

「あ、うん、わかった、ありがとう。明日あしたかならかえすよ。」

『うん!そしたらまた明日あしたね!』


彼女かのじょあらしのようにて、あらしのようにっていった。


彼女かのじょからされたかさは、いかにもおんな使つかいそうなかわいいかさすこずかしかったけれど、こんなぼくなんかのためにわざわざしてくれたのだから、ありがたく使つかわせてもらおう。


雨粒あまつぶかさおときながら帰路きろにつく。

そのとき足取あしどりは、普段ふだんよりも、こころなしかかるかんじた。

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天気予報 小悪魔はく @kanzakiior

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