『ペルソナ５ザ・ロイヤル』（リマスター版, Windows）３学期まで一周やりました。

　いや、たいへんだった。私はもともとゲームは得意じゃないのです。うっかり難易度ハードで始めたら、奥村社長の部下を倒せなくて詰みかけたよ。

　最近のゲームってすごいね。尺も長いし、ストーリーも重厚でした。

　ゲームなので当然ではありますが、登場人物の出し方、時系列の切り貼り、伏線回収などが丁寧で、シナリオライターの実力を感じました。各エピソードは割とクリシェなのですが、メインプロットはちゃんと面白いですし、おそらく故意に抑制しているのでしょう。年末の「神がうんちゃら」になるところは情緒に訴えすぎている気もしましたが、１月１日以降の裏シナリオはぞっとする良さですね。

　私は心理学好きなので、設定に惚れました。心をいじる系のギミックは内容が抽象化しやすいため、長編化するのは難しいと考えていたのですが、見直すきっかけになりそうです。

「ペルソナ」という単語自体がユング心理学の言葉なんですね。私はフロイト・ユングを敬遠してきたのですが、少し勉強すると創作の糧にはなるかもしれません。

　このごろ、SFと「若さ」の相性の良さが気になっています。

　日本のSFは少年少女ものが多いと思うのです。奥浩哉先生は『GANTZ』を「日本人に馴染むSF」として描いたという話がありますが、それに限らず国産SFは小学生～高校生が多い。銀河鉄道999、ドラえもん、ガンダム、AKIRA、エヴァ、寄生獣、SAO、まどマギ……数え出したらきりがない。鉄腕アトムも広義にはそう？　海外作品でも『ET』『バックトゥザフューチャー』、スターウォーズも１－６まで子ども、ターミネーターもヒット作の『２』は子ども主人公か。

　物語構成としては、成長譚と逆転劇ですね。つまり、SFで成長できるバカ、SFを受け入れられるバカが主人公になりがちだから、必然的に子供が配役される。

　一方で、出てこないときは子供が一人も出てこないかも。『宇宙戦艦ヤマト』『攻殻機動隊』、映画なら『マトリックス』、ゲームでは『バイオハザード』『サイバーパンク2077』など。ハードボイルド・ダーク・バトルに振り切れる作品が多いためだろうか。逆に『サイバーパンク2077』のアニメ版（エッジランナーズ）は子ども主人公ですね。

　そして、この「子供は全か無かの法則」、小説だけはこの限りではないかもしれないですね。これは新規性の穴ではないだろうか。それとも私が読んでなさすぎるだけかな？

　すみません、話を戻しますが、『ペルソナ５』で面白かったのは高校生たちのエピソードです。

　わざとでしょうけど、細部はけっこう陳腐なんですよね。ありえないぐらい家族がらみが続く。主要メンバーは家族健在１、親なし５、姉妹と死別１、親と別居中１、猫１。

　古い資料ですが、日本では子どもの~85%が「父母と同居中」らしいです（https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/2kekkagaiyou.pdf）。怪盗団は滅多にない星のもとに集いました。そりゃ非行（世直し）に走るわな。

　どうも人間は家族ネタを反復して楽しめるらしい。彼らのシナリオで共通するのが「家族関係は崖っぷちだが、リアルタイムに自分自身が傷ついているわけではない」という点だ。つまり、自分が無傷なら家族はスナック菓子。最近話題の『タコピーの原罪』は、これを逆手に取った例と言えるかもしれません。

　たぶん実際には、家族との離別ってかなり心が痛みますけどね。ドライだなあ……。悲しいです。

　そういえば、本作では10人のヒロインと10股をかけられるらしいのですが、私は新島真さん一筋でクリアしました。

　残り９人が純情すぎて、交際を断るたびに露骨に落ち込むので、心が痛みます。主人公が思わせぶりすぎる。父を亡くして許婚（いいなずけ）に言い寄られてる女の子相手に、９回目のデートで「きみは友達だ」とかダメだろ。衝撃の愚者ムーブに女帝も涙を禁じえない。

　あと、平然と「二人きりの夜を楽しんだ」しまくるのがビックリでした。これがCERO 15歳以上なら、カクヨムでは任意の高校生ラブラブエッチを書いていい。書こうかな。