1と0
XX
俺の腕に人面瘡
俺の腕に人面瘡が出来た。
理由は分かってる。
昨日、いい加減別れたかった女をぶっ殺して山に埋めたからだ。
そのときに腕を怪我した。
怪我の理由はなんだったかな……
気が付いたら、腕に切り傷が出来ていたんだ。
山だったから、木の枝か葉っぱか何かで切ったのかもしれない。
俺はろくに手当てもしないで、埋めた後に車を運転して下山して。
家で手当てをして眠ったら。
起きたらこうなっていた。
人面瘡は人の顔である以外、特徴が無い。
あのクソ女に似ているようにも見えない。
切り傷が唇と目になり、ぎょろぎょろと周囲を観察している。
そしてその口から、数字を呟いているんだ。
「いちまるいちまるいち」
いちまるいちまるいち。
つまり10101だろう。
何なんだ?
人面瘡の気味悪さに最初圧倒されて、そこに気が全く回らなかったが、落ち着いて来て冷静になってきて。
そこを考えるようになった。
最初、あのクソ女関係の数字かと思ったんだけど。
どうにもそんな数字で心当たりがない。
5桁だから日付じゃ無いしな。
何なんだ?
起きてから30分くらい、ずっと考えているが全く分からん。
……俺があの女を殺した理由は、心が休まらないからだ。
あの女は、零か百かの態度しか取らないヤツだったんだよ。
ちょっと気に入らないことがあると、モノを投げて来て。
不愉快なのを我慢をするということを知らん。
中間が無いんだ。
外見はかなり良かったんだけど、バカだったよ。
そんな女だと知っていたら、付き合わなかったのに。
なので俺は
「別れよう。瞬間沸騰みたいにキレまくり、我慢が無い女と付き合ってられない」
そう言ったら
「別れるぐらいなら殺す」
そう口にして。
本当に俺に斬りつけて来て。
警察に通報しようとしたら
「出所したときを楽しみにしてて」
「アンタだけじゃ無くて、親類縁者にも復讐してやる」
そう言って来たんだ。
凄まじい笑みで。
こんなの、もう殺すしか無いだろ!
なので俺は、ドライブに行こうと誘い、山に連れて行って
そこで用意していたロープで首を絞めて殺して、山に埋めた。
殺したときは「やってしまった」と思うよりも。
これでもう、俺の人生をコイツにこれ以上壊されることは無いのかと安堵したんだ。
ブーン ブーン
そのときだ。
俺のスマホが鳴った。
電話だ。
一瞬、俺の犯罪が発覚したのかとビビったが
電話の主は俺の母さんで。
深呼吸して、俺はその電話に出た。
「……もしもし?」
『落ち着いて聞きなさい。……お父さんが脳梗塞で倒れた!』
え……?
突然の母さんの言葉。
そんな……?
そのとき。
「いちまるいちまるまる」
人面瘡の呟きが変化した。
10100……。
そこで俺は閃くものがあった。
二進法で、10101は十進法で何なのか?
10100は何なのか?
あのクソ女は2択しかない女だった。
二進法が関係深い気がしたんだ。
スマホで検索したら
10101は21で。
10100は20と分かった。
そして今、親父の脳梗塞のことが……
まさかこいつ、俺の親類縁者を21人殺すつもりなのか……!
「ふざけんなクソガアアアア!」
俺の叫び。
だがそんな俺の叫びに
「いちまるまるいちいち」
人面瘡はまたそう呟いたんだ。
1と0 XX @yamakawauminosuke
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