番外編 神秘力探知船舶(朽縄造船所)の造船計画書(没)

壊れたガラスペン

番外編 朽縄造船所の造船計画書(没)

——朽縄造船所・造船計画書

計画立案者:三沢みさわ さとる

計画名:神秘力探知船舶及び朽縄式スーパー嗅覚センサー


 1. 作成経緯

一九六〇年代におけるオカルト技術の露呈に始まった世界的超常技術の波及は一九七〇年の第三次世界大戦の勃発に影響を及ぼしたというのが世間一般の常識である。そして日本は一九七五年より正式に中央官庁でも取り扱うようになりました。


世紀末を終え、二十一世紀を迎えるにあたって日本政府は神秘力の真理・原理追求のため、様々な計画を立案しています。政府方針に基づき当造船所は神秘力の発生地点の検索を行う船舶の造船を計画します。


日本政府は神秘力の発生源の検索を行っております。そして地球の大半は海水によって締められており、その検索には船舶を用いるのが最も有効であると考えます。また、大幻洋における海域の調査に役立てることも可能であります。


利用部局:総理府外局大幻洋庁、経済省外局国防地理院、商務経営省外局水産保全庁、環境整備省外局資源保安庁


 2. 船舶概要

船舶名(仮):神秘力源探知船

主要用途:神秘力源の探知

船体規模:未定

—以下船体規模仮数値

総トン数:約五〇〇トン

全長:約五十五メートル

最大幅:約十一メートル

乗員数:約三十人

航続距離:約五五〇〇海里


 3. 技術・装備

—主力装備概要—

神秘力源探知に使用されるのは嗅覚センサーです。まず、初めに神秘力を嗅ぎ分ける能力を保有する人材は存在します。その能力の解析を行い、神秘力を嗅ぎ分ける装置を組み込むことを考えております。


名称として、【朽縄式スーパー嗅覚センサー】を検討しております。朽縄は我が社の名称です。スーパーは他よりも優れた性能を持つという意味です。嗅覚センサーはそのままの意味を名称に採用しております。わかりやすく、親しみやすい名称として考えております。この【朽縄式スーパー嗅覚センサー】は本計画の主力装備であり、これを欠かすことはできない代物であります。


—【朽縄式スーパー嗅覚センサー】—

上記に記述された性能を発揮するため、暁神重工業様より技術提供を受け、神秘力を嗅ぎ分けるセンサーを製作します。想定される神秘力源の最大探知範囲はおよそ二〇〇キロと算出されています。


 4. 造船計画

造船期間:約三年 (設計一年 → 建造一年半 → 試験半年)

予算算出:約二十二億円


 5. 安全管理

—対神秘装備概要

神秘力源の探知に伴い高濃度神秘領域への長期間滞在を行う可能があり、本船舶には対神秘塗料を使用し、船員には対神秘装備を装着させることを義務づける必要があります。


—情報保安体制

本船舶は外部からの情報を一切遮断しており、情報のやり取りは有線での送受信のみに限定することで、情報の保安性を高めております。


—朽縄式スーパー嗅覚センサー暴走時について

朽縄式スーパー嗅覚センサーは暴走時に周囲の神秘力及び霊力等を吸引してしまう可能性があります。その際は緊急停止を用いるか、物理的遮断装置の起動を検討しております。


—船員の緊急脱出装置等

設計段階では人数分の脱出艇を完備させております。また、脱出艇には六ツ境重工業製の大幻洋対応の保護膜を常時展開できるようになっており、より船員の安全性を高めております。


 6. 備考・参考情報

既存の探知船舶参考例等:朽縄製小型船舶(名称不定)、暁神重工業製大型船舶(名称不定)等


—協力企業・研究所一覧

暁神重工業

六ツ境重工業

朽葉船渠

神奈川重工業

竹垣学園

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