空き家を巡る行方不明事件と、徐々に侵食してくる怪異の気配がとても不気味で、序盤からしっかり怖さを感じられました。特に「日常→違和感→確信」に変わっていく流れが丁寧で、読んでいて自然に引き込まれます。
導入の問いかけから始まる構成が印象的で、オカルト要素への期待を自然に高めてくれます。空き家の不気味さや「目が合う」描写が非常に効果的で、恐怖の演出が丁寧に積み上げられています。また、心陽と和真の対比――慎重さと行動力――が物語に緊張感を生み、読者を引き込みます。特に和真の覚悟ある発言は物語を大きく動かす力を持っており、ドラマ性も十分です。放課後の突入という王道展開ながら、先が気になる良い引きで締められていると感じました。
霊感を持つ主人公と勇敢な友人が、神隠しの噂がある廃屋に挑むサスペンス・ホラーだ。閉じ込められた異空間で、居住者の凄惨な過去や、秘密組織「特異現象捜査部」の存在が明らかになる重厚な世界観が魅力である。虐待の連鎖という救いのない背景を持つ少女の霊との「死の鬼ごっこ」が描かれ、緊迫感ある脱出劇と警察組織の裏側が絡み合う独自の設定が光る。本格的なホラーやミステリー愛好家、あるいは「秘密組織」や「救いのない過去」を巡る物語に惹かれる読者に推奨する。