「朝のひとくち」

琥珀

第1話


夜明けの光がカーテンの隙間から差し込んでくる。

まだ半分眠っている彼に、私はそっと顔を近づけた。


「おはよう」

「ん…まだ眠い」


彼は布団の中で目をこすりながら、私のほうに腕を伸ばす。ぎゅっと抱きしめられて、私は思わず笑った。


「今日、仕事行きたくないな」

「だめだよ。私も行くんだから、一緒に頑張ろ?」


そう言いながらも、胸の奥が甘くなる。彼とこうして迎える朝があるなら、どんな一日でも乗り越えられる気がした。


「ねえ」

「ん?」

「行く前に…ご褒美、ちょうだい」


彼のお願いは、決まっている。

私は小さくため息をついて、唇を重ねた。ほんの一瞬。けれど、そこにすべてが詰まっている。


「…これで元気出た?」

「うん。行けそう」


眠気を残した笑顔に、また胸がぎゅっとする。

きっと明日の朝も、こうして彼の腕の中で始まる。

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