1ー3 何で


 「―――はぁ、はぁ(そろそろ、休憩しよう)」

 

 

 現在いまも正確な距離は掴めない。だが、相変わらず人気が無さ過ぎて追って来てるのかどうかも判断できない。

 

 

 (もう、追うのを諦めたのか、嫌、ここを狙って襲いに来るかもしれない。だが、あまりにも遅すぎる・・・)


 「もしかしたら、奴ら道に迷ったのか?」と思ったがそんなはずはない。

 ここに、追い込んだのは奴らだ。僕より奴らの方がここは慣れているはずだ。わざわざ、知らない道に追い込むなんて意味がないだろう。そうしたら、よほどの馬鹿かもしれないが。

 

 徐々にスピードを緩めても相変わらず自分の足音と声しか耳に入ってこない。後ろをみても人影なさは伝わってくるが来る気配もない。

 

 一旦、棒になった足を動かすのを終了し、近くの壁にもたれかかった。

 この壁はゴツゴツしてて少し冷たさが伝わっている。おそらく、レンガでできているのだろう。それだけで現地点が分かればいいが、この町でレンガを使っている家なんて無数にある。

 

 


 長く住んでいたからか、「土地感」というもので地図は見なくても自分の現在地は大体把握できる。だが、この状況ではただの迷子当然だ。今の僕には為すすべもない。


 だからこそだ。今は速く体力を回復をさせることが第一だ。逆に言えば、それしか僕にはできないことなのだが。

 


 「ゼぇ、ハァ゛――ズゥゥゥゥゥ」



 僕は、酸素不足の身体に多くの酸素を注入した。

しかし、あんな、慣れない長時間を走ったせいで、呼吸がまともにできない。胸が痛い。肺が痛い。今まで、できてたものができなくなるという気持ちはこういうことだろう。しかし、奴らがいつ来てもいいように、この間もない休息なのでこれを利用しておかないことにはいけない。



 (さて、どうしようか)



 だんだん、定まってきた呼吸に一息つき、これからの作戦を練ようと頭を捻った。


 一応、裏道に入る前に落ちていたボロボロの薄黒いポンチョのおかげでこの夜みたいな道には溶け込めた。奴らも着る前の僕しか認識してないから見つけずらいだろう。姿に関しての問題は大丈夫だろう。


 問題なのが、やはり道なのだ。どこへ行っても同じ景色。ぐるっと回って一周してきたのか、家より遠くにいるのかも把握できない。裏道にも抜け道があるか捜査したが、壁で敷き詰められてて隙間もない。


 それに、奴らの中に魔術師がいる可能性もなくはないのだ。ましてや、索敵魔術持ちだったら直ぐ見つかって、終わりだ。


 ある程度の範囲いないと発動はしないが、どちらの現在地も判別できないから安心はできない。むやみに動いても吉か凶がでるのかは運命の神でない限り分からない。

 どうやったら、あっちに戻れるのだろうか。そもそも、ここの存在を知ったのはいつだったのだろうか。つい最近か、いや、もっと昔だったか。その時に、脱出口も教えてもらったはずだ。その「誰か」もど忘れしてしまった。自分も、よく知っている人物のはずだ。思い出そうとしても、喉につかって出てこない。


「もう何で、こんなときに‼」


 今、絶体絶命に近い状況のはずなのに、こんなときに出てこないなんて本当に今日は運が非常に悪すぎる。今日の運勢、知っておけば良かった。


(確か、部屋で勉強して、疲れ果てて、近くに合った茶菓子を一つまみして)


そのあと、サラマンダーの伝記を読んで、誰かが部屋に入って来て――


(あ、思い出した!カレッジが入ってきたんだ!)


僕の教育係というより面倒見係のインガノが僕が好きな紅茶を差し入れに来てくれたんだ。

そのあと、勉強の進み具合を聞かれて、突然、裏道について尋ねたんだ。

その話の中で、確かに出たはずだ。もう少しで喉を通ろうとしたとき、

「おぉい!!見つけたぞ!!」

どうやら、時は待ってはくれなかったそうだ。

 ガタイのいい血のようなバンダナを付けた男が声をあげた。そして、手にはよく切れそうな包丁を持っていた。その様相からだと、「盗賊」という言葉が会うだろう。朝まで飲んでいたのか距離が離れていても酒臭さが伝わってくる。その声に続いて続々と盗賊が出てくる。

(くっそ...!もう、見つかったのか)

 僕は必死に走る。途中、履いていた紅色のスニーカーの靴紐が切れた。しかし、直してる暇はない。僕はそのまま、脱ぎ捨てた。

(とにかく、今は盗賊の視界に入らずに走るしかない。でも、今僕を追いかけてるのは十中八九、盗賊だ。)

 あいつらは、盗んだ後の逃げ足が得意な連中だ。鍛錬している騎士からも逃げ切れることがある。長年続けていれば、どんな地形でも適応が速いはずだ。

 ここからの推測で、現時点ではあいつらの方が地は利にかなっている。だから、どれだけ僕と盗賊らの距離を今より伸ばせたまま逃げ切るかというのが僕の課題だ。それにあたって、僕はあいつらよりも身体が小さく、力も弱いから体力では競えない。唯一賭けることができるのはのみだろう。

 だが、どこが最終地点ゴールなのかは分からない。闇雲に走ってもどうにもならない。今の状況は絶体絶命に近い。

「っ!本当にどうすれば!」

 僕の希望が薄れていたとき、僕の前に一つの物体が横を通り過ぎた。ゆっくり目で追っていると犬らしきものが向こう側にいた。遠くにいて、鮮明と分からないが僕を見るとまた動き始めた。まるで、着いてこいと言ってるかのよう。

 僕はその動作の意味通りに犬の後を追った。しかし、犬のほうが体力があるのか僕より速い。辛いが、僕も速度を上げるしかない。でも、そうしないと犬にも置いて行かれ盗賊らに捕まってしまう。

「というより、どこに向かっているんだ?」

 まっすぐ進むと思えば直ぐ曲がり、また角があったら曲がり、本当に見失いそうだ。「もしかして、僕の勘違いか」と思ってしまったがさっきと明らかに同じ景色に変わらない。今は前の案内人?に運命を預けるしかないと信じることしかできない自分に少し腹立つが。


 肺が悲鳴をあげている。息をすることすらままならない。裸足だからか、ところどころに石が刺さってる。もう感覚すらない。

しかし、僕はそんなのには引っかからないぞという意識を何とか保っている。創造神が今の自分をほめて欲しいが褒美が中々くだらない。たぶん、過去一ぐらいの速度で僕は走ってるのに。無我夢中なのに。

 突然、前方の犬が突然動きをとめた。くるりとこちらを向き、ハァハァと肩で息をしている僕を見た。止まったということは案内が終わったということで捉えていいだろう。

「やっと…終わった」

 そのときどっと、疲れが襲いかかってきた。当たり前だろう、あんなに身体を動かしたのだから。

 そして、前を見るとそこは「壁」だった。

 要するに行き止まりだった。

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『この人物、完全記憶にて』 饅頭バーガー @gakuenLetsgo

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