私はエレベーターに嫌われている

ちびねここ

第1話 私はエレベーターに嫌われている

私はエレベーターに嫌われている。


……いや、マジで。よく挟まれるのだ。


今住んでいるマンションのエレベーターには、特に嫌われている気がする。

乗り降りのタイミングを変えてみても、やっぱり挟んでくる。

「これは相性がいいってことかな?」と一瞬思ったけど――やっぱり違った。


なぜなら、挟まれてもすぐに開くわけじゃないのだ。

さらにぎゅっと閉まり、三秒ほど私を捕まえたまま離してくれない。


……腹が立つ。めっちゃ腹が立つ。


ある日、とうとう我慢できなくなって、私はエレベーターに声をかけてみた。


「キミは私のことが嫌いでしょ? 私、何かしたかな? なんとか言ってみなさいよ!」


もちろん返事はない。

返事はないけれど、その代わり――降りる時に、きっちり挟んできやがった。


私はドアに挟まれたまま、苦しそうに言った。


「お返事ありがとねー! はよ離せ!!」


……なんなのよ、まったく。

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