死神
@tentoumusi_8
第1話
運がよかった。
夜なのにこんなに空は明るくて、
昼なのに人々はこんなにも暗い顔をしているのだから。
暗い古びた廊下にミシ、ミシと音が響く。
古びた畳、ちゃぶ台、壁にかかった古時計。
部屋の隅のベッドの上から、かすれた声がした。
「……ついに来たか、死神さん」
痩せた老人が、じっとこちらを見て微笑んでいた。
「言わなくてもいい。迎えに来たんだろう?」
老人の眼差しは穏やかで、まるで旧友にでも会ったような顔だった。
「やっとだ。長い間待っていたんだ。……あんたに会えるのをな」
「聞いてくれるか? 少しだけ話を」
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