退職
令和7年7月23日の朝、職場に電話をした。
「土曜日は急に休んでしまってすみませんでした。勝手を言いますが、今日も仕事の方を休ませて下さい。そして今後のことを話し合いたいと思うのですが、本日お時間を割いて頂くことは可能でしょうか? 可能ならそちらへ向かいますので」
そう言うと、その日の14時から上司2人と話すことになった。
午後、頭痛とうなじの痛みで吐きそうになりながらも運転をして職場へと辿り着いた。
ふらふらとしながら上司を訪ね、応接室で話し合いをすることになった。
私はまず土曜日に急に休んでしまったことを謝り、精神的にキツいので精神科クリニックに診察の予約をしたことを伝えた。
今の精神状態では仕事が出来ないこと、受診して直ぐに状態が回復する保証がないことを伝えて退職の意を切り出した。
上司達はやっぱり、
「仕事はちゃんと出来てるよ」
と言ってくれたけど、私は内心、
そりゃあハンデがあるからかなり無理して、努力して、頑張ってたからね。不調を悟られないように頑張ってたからね。
と思って涙が潤んできた。
上司2人の意見としては、
「聴覚情報処理障害というハンデがあるのは分かるが、仕事はちゃんと出来てるので問題ないのでは? 他の部署の人にも配慮してもらうように周知するよ」
「精神科クリニックの診察までは休職扱いでいいよ」
「勤務形態も慣れるまでは午前中勤務だけでもいいし、毎日出勤しなくてもいいよ」
ということだったが、如何せんこの2人は立場が上の人なので私がやっていた業務とは全く別のことをしている。私のやっていた業務はかなり忙しかったので、私がそんな不規則で自由な勤務だったら同じ業務をしている人達にはかなり迷惑をかけることになる。
そもそも私はどちらかというと“真面目”な性格なので、どうもにも休職というものに気が引けるので、それがストレスになってしまう気がした。そんな私の気持ちを察してくれた上司の一人が、
「どこかに所属してるとやっぱりそれが気になって休めないよね」
そう言って理解を示してくれたので、私はそれに頷いた。
こうして私の退職がその場で決まった。
「……皆さんにもよくして頂いたのに、ご迷惑をおかけてして本当にすみませんでした。自分でもこんなことになるなんて思っておらず、なかなか受け止めきれなくて。今まで問題なく生きてきて、今更まさかこんなことにつまづくとは思っていなくて、すみませんでした」
最後に私がそう言うと、上司は
「迷惑なんて全くかけられてないよ。それに仕事は問題なく出来ていたから、つまづいてないでしょ」
と言ったので、笑いたくなった。
「就職活動をする時はまた声をかけてね。その時に募集をしてたら採用するから」
それに対して何て言えばいいのか分からず、曖昧に返事をした。
こうして私はたった2ヶ月と少しだけ働いた職場を後にしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます