5話~やっとスタートラインです~
金曜日---
もう朝から気が気じゃなかった順太郎は仕事が終わると同時に会社を飛び出して、先週彼女と出会った立飲み居酒屋へと向かう―――
待てよ…。
もしかしたら今日こそは行けるかも知れんぞ。
初めてのエッチならゴムは必要か…。
順太郎は駅の薬局でコンドームを購入し、スーツの胸ポケットにしまう。
いやいや!
胸ポケットはダメだ。
もし俺がやる気満々なのがバレたらその時点で嫌われる可能性がある。
順太郎は鞄の中にコンドームをしまいなおした。
* * *
「あ…。 こんばんは。」
立飲み居酒屋に行くと彼女はすでにチョコレートとチーズをおかずにチューハイを飲んでいた。
「こんばんは。」
挨拶だけ返し、順太郎もカウンターでビールと枝豆と、から揚げを買って、彼女の横に行く。
「毎朝会ってるのに、ここで会うとなんか新鮮ですね?」
毎朝見る彼女より、今日の彼女の方が可愛らしい。
これから連休という事できっと緊張も解けているのだろう…。
「そうですね。」
順太郎は答えるとビールをグイッと喉に流し込む。
名前を聞かなくては!!
どう切り出せば良いか悩んでいると―――
「そういえば、お名前まだ聞いていませんでしたね? いつも満員電車なので名前とか個人情報聞くのが申し訳なくて…。」
彼女の方から聞いてきてくれたのだ。
「古市順太郎です! あ… あなたは?」
1週間も聞き出せずにいた質問がやっとできたと順太郎は肩を撫でおろす。
「鈴木沙也加と言います。 みんなには"サーヤ"って呼ばれています。」
「サーヤちゃんかぁ~…。 可愛い名前ですね?」
古市沙也加…か…。
俺と結婚しても違和感無いな!
「サーヤちゃんは趣味とかあるんですか?」
名前を聞いた勢いが今回はぐいぐい質問する順太郎。
「ん~…。 サッカーの試合とか見るのが好きですね。 頑張っている男の人ってカッコイイですよね。」
沙也加は恥ずかしそうに答えた。
「サッカーかぁ~…。 やってみようかな。 サーヤちゃんが応援してくれるなら。」
「応援しますよ! 試合とかあったら是非教えてください。」
こんな取り留めも無い話をし続け、時間はもう0時に近づいていた。
閉店時間だ―――
「もっと話をしたかったな…」
順太郎は名残惜しそうに沙也加に言う。
「まぁ、週末のお楽しみという事で。」
沙也加がほろ酔い状態で今日をお開きにしようとする。
「え~… まだ飲めるんじゃない? 宅飲みとかどうです?」
順太郎はこの後を考えながら沙也加を誘うが、沙也加は明日、"恩人のプレゼントを買いに行きたいから"と頑としてこの後の夜の時間を与えてくれない。
まぁ、まだ知り合ったばかりだしな…。
順太郎はこれ以上は逆に嫌われると思ったが―――
「そうしましたら、明日お買い物付き合ってください。 男の人のプレゼントですので、一緒に選んでもらえると助かります。」
沙也加の方から明日のデートを誘ってきてくれた。
「はい! 喜んで!!」
「あ… そうしたら連絡先交換しましょう!!」
言いながら沙也加は自分のスマホを取り出した。
順太郎も急いでスマホを取り出し、連絡先の交換をしたのであった―――
名前だけじゃなくて連絡先の交換もできた!!
本当は肉体関係を期待していたが、沙也加と繋がりが出来た方が嬉しく、順太郎は嬉しそうに帰路についた。
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