タイトルを決める

 さて、ここではタイトルの決め方について書いていこうと思う。


 第一に意識するのは、「内容をイメージしやすい長文タイトルにすべし」。

 これは他の創作論でも常套句なので解説するまでもないか。もちろんジャンルや作風によっても変わってくるが、少なくとも今回は異世界転生という長文タイトルと相性の良いジャンルを扱うのだから迷うまでもないだろう。


 ちなみに、小耳に挟んだことだが文字数は39文字以内にした方がいいらしい。

 なんでもトップページなどにピックアップされることがあった場合、『現世に転生し魔王が、自分のカードが不遇……』みたいな感じで、タイトルの40字目からは省略されてしまうのだそうだ。

 裏取りはしていないし、筆者が知った後で仕様変更された可能性だってあるが、しかし長すぎるタイトルは読みづらいから、どちらにしてもそれくらいを目安にするといいと思う。


 前提はこのくらいにして、具体的に詰めていく。


 長文タイトルを作る上で読者に受け取ってほしい情報としては、

「現代日本に転生した魔王が主人公であること」「カードゲームものであること」

「カードゲームの内容が前世とそっくり」

「前世の自分もカード化されていたが、世間ではクソカード呼ばわりされてる」

 といったところか。


 これらを、一見して「こういう物語なんだろうな」と想像できるようにわかりやすく伝えるのが目標となる。

 手段としては自分のセンス、ランキング作品を参考にする、ひたすら試行錯誤といったところになるが、ここで便利なツールが生成AIだ。


 生成AIといっても、「これこれの条件でタイトルを考えて」と注文したところで納得できる案は出てこない。

 あくまでも作るのは自分の仕事で、では生成AIを何に使うかというと、である。

「●●というタイトルのライトノベルは、どんなあらすじだと思う?」

 と訊ねて、期待通りの答えが返ってきたら『わかりやすいタイトル』に仕上がっている証拠になるのではないか、という考え方だ。

 たぶん信頼できる人間の友人とかがいれば、そっちの方が効率的かもしれないが、そんな都合の良い人材を筆者は持ち合わせていないし、AI相手なら遠慮なく何時でも何処でも何度でも相談できるのが便利だ。


 このやり方でAIに相談を繰り返すと、色々と発見がある。

 たとえば『転生魔王は不遇カードを救いたい』というタイトルにすると、魔王のカード以外にも勇者とか魔王の部下とかたくさんのクソカードがあって、主人公がそれらの活用方法を考えていく……みたいなあらすじが返ってきた。

 これはこれで面白い連作短編かもしれないが、今回の趣旨とは異なる。なるほど、じゃあ「魔王のカードが」不遇なのだと強調するように変えよう。


 次に『魔王がクソカードとは納得できない』にすると、転生した勇者が「あの魔王はめちゃくちゃ強かったんだぞ!」とツッコむ話になってしまったので、主人公が転生魔王だと明示しないといけない。


 また、可能なら複数のAIを並用するのも良いだろう。

 筆者の場合、ChatGPTでは想定通りのあらすじになりやすかったが、Grockだと頑なに「日本人が異世界の魔王へと転生する」という展開だと解釈してしまうことに悩まされた。

 タイトルに「現代日本」とか付けるか。「転生した元魔王」とした方がわかりやすいか。いやでも、それって字面が悪くならないか……等々、思考のヒントとしては申し分ない。


 こんな具合で回数をこなしていくと、徐々にいい感じの落としどころが掴めてくる。

 ある程度固まってきたら、あとは時間を開けて調整しての繰り返しだ。登場人物やらストーリー構成やらを考える合間に、やっぱりああしようこうしようと弄り続けて、最終決定は執筆開始の直前となることだろう。

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