旅の始まり
「さぁ、それでは参りましょうお嬢様」
ユキは相変わらず私をどこかへ連れて行きたそうだが……。
「こんな滅んだ世界のどこへ行くというの?」
どこへ行っても何もない、誰もいないならどこにも行かないのと同じだ。
ユキはこくんと頷く。
「わたし達は博士からの
「……私以外の?」
「はい。お嬢様がこうして生きていらっしゃるように、広い世界には何らかの方法で核の脅威を逃れた生存者が必ずいると博士は考えたのです」
それは何の確証もない話だった。だけど、お父様が「必ず」というのならそれは絶対だ。お父様の「必ず」が外れたことはないのだ。
世界を繁栄させる……それはよく分からないけど、ずっとこの街で何もしないでいるよりは何か目的があった方がいいと私は考えた。
「分かった、行こう。ユキ」
ユキの頭を撫でる。するとユキは固そうな尻尾をカクカクと揺らした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます