第5話 命令のはじまり
会議室のテーブルに俺が書類を並べていると、真理子さんが廊下側のカーテンを閉めていく。
いつも使用している会議室なのに、息が詰まるほどの熱を帯びている。
「直樹くん、こっちへ」
呼ばれるままに近づくと、ネクタイをつままれ、背中をテーブルに押しつけられる。
真理子さんの瞳が間近に迫り、体温が一気に跳ね上がった。
「静かにね」
耳元に落とされた囁きは、抗えない命令だった。
◇
「手を貸して」
俺がおずおずと両手を差し出すと、俺の手を取って自分の太ももに当てた。俺の手で真理子さんのスカートをたくし上げていくように誘導される。黒ストッキングに包まれた張りのある太ももが露わになっていく。
「ま、真理子さんっ」
声をうわずらせて名前を呼ぶ俺を一度見たが、真理子さんはそのまま俺の手を太ももに添わせたまま、上げていく。
指先を通してわかる、下着の段差に触れる。
柔らかさと弾力、俺からは見えない下着の感触が掌に広がった瞬間、喉が鳴る。
下腹部がじわじわと膨らみ、止められない。
その手を真理子さんが重ねて固定する。
「ここから、動かさないで」
優しい声なのに、逆らえない支配感が全身を縛る。
真理子さんは、俺の手から両手を離して、俺の胸元に手を添えた。右手で俺の首筋をなぞる。
「...っ...」
触れるか触れないか曖昧なその感触に声が出そうになる。真理子さんが動くたびに、両手にストッキングで隔たれた肉感が動いている。
熱に耐えきれず、指先をわずかに動かしてしまった。
瞬間、手首を押さえつけられる。
「誰が、動いていいって言ったの?」
低い声に全身が震え、呼吸が止まる。
「……ごめんなさい」
情けない声しか出せなかった。
「罰よ、我慢して」
◇
次の瞬間、真理子さんの手が股間を強くなぞった。
布越しに硬さを擦られ、全身が跳ねる。
「っ……あ」
声が漏れた瞬間、耳元で小さな笑い声。
「静かにって言ったでしょう? それとも、誰かに聞かれたい?」
羞恥と恐怖が熱を煽り、硬さはさらに膨らんでいく。
爪が布越しに擦れるたび、腰が勝手に浮きそうになる。
呼吸を殺そうと唇を噛むのに、震えは止まらない。
「もう…こんなに...」
囁きと同時に、股間の中心を強く撫で上げられる。
全身が弾け、視界が白く揺れた。
「っ……だめ、です……」
必死に押し殺した声に、彼女は甘く笑う。
「どうしてダメなの?こんなにして...」
耳元に吐息がかかり、身体が限界に追い込まれていく。
布越しに真理子さんの指先に何度も擦られ、硬さは破裂しそうに疼く。
スラックスの布を押し上げて、きつい。真理子さんは、わざと親指の爪で硬くなったあとをなぞってくる。
「んっ...ふ...」
絶頂が目前に迫っているのに、解放されない。
耐えれば耐えるほど、快感は濃く、苦しく、甘美になる。
「気持ちいいの?」
「……っ、はぃ...!」
涙がにじむほど耐えながら、必死に頷いた。
◇
唐突に手が離される。
安堵と同時に指先からの刺激の先を期待していた気持ちに気付かされ、股間が余計に疼く。
荒い息を整えようとしても、震えが止まらない。
「もう集まるわね」
涼しい声でそう言い、真理子さんはスカートを整え、背中をむけた。
支配の色は一切残っていない。
その瞬間、ドアが開き、同僚たちが入ってきた。
真理子さんは穏やかに「準備できてます」と告げる。俺は慌てて立ち上がり、席に着いた。
真理子さんの隣に座るとき、俺の視線は黒ストッキングの脚に吸い寄せられた。
得るはずだった快感を寸前で止められた熱が、まだ身体の奥に燃え続けていた。
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