第3話:面白さの設計図を引く【プロット作成】篇
「勝利のための設計図」である【企画書】が完成したら、次はいよいよ物語の細部を構築する【プロット作成】の工程に入ります。
これはソフトウェア開発で言うところの「基本設計」であり、同時に「詳細設計」のフェーズです。私たちの頭の中にある物語を、AIが寸分違わず実装(執筆)できるレベルまで、具体的に分解していきます。
【プロットは「執筆フェーズの憲法」である】
まず、私がプロット作成に入る際の、最も重要なルールをお伝えします。
それは、「このプロット資料さえあれば、他の資料を一切見なくても執筆に入れる状態にする」ということです。
そのため、プロット資料には、【企画書】に記載した「テーマ」「世界観」「キャラクター設定」といった全ての重要情報を、改めて転記・集約します。なぜなら、これから始まるプロット作成の過程で、これらの設定は、より深く、より具体的になっていくからです。
企画段階では完璧に見えた設定も、物語の具体的な流れに落とし込んでみると、「あれ、このキャラクターの動機だと、ここでこう動くのはおかしいぞ?」といった矛盾点が必ず見つかります。
その時、私はプロット側の変更を「正」とし、このプロット資料こそが、これからの執筆における唯一絶対の「憲法」であると定義します。これにより、情報の鮮度を常に最新に保ち、手戻りの無駄をなくすことができるのです。
【Web小説プロット作成雛形】
この、数万字にも及ぶ詳細な「憲法」を体系的に記述するために、私は以下の雛形を使用しています。AIに骨子を出力させた後、この雛形に沿って、監督である私が魂を吹き込んでいくのです。
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第1部:物語の全体設計
このセクションでは、物語の根幹となるコンセプト、世界観、登場人物の骨子を定義します。
1. コンセプト・世界設定
コンセプト: 物語を一文で表現するキャッチコピーを記述します。
例: その知識は、毒か、薬か。――これは、完璧主義の天才が、「失敗」と「仲間」を知り、世界の闇を錬成し直す物語。
ジャンル: 物語のカテゴリを列挙します。
例: 後宮もの、中華風ファンタジー、ミステリー
ターゲット読者: どのような読者層を想定しているかを具体的に記述します。
例: Web小説の読者層。ファンタジー、謎解き、キャラクターの成長物語を好む層。
物語の核: この物語を通して最も伝えたいテーマや、主人公がどのように変化するのかを記述します。
例: 孤独な完璧主義の天才が、不完全な他者との間に「絆」を見出し、自らの手で未来を切り開くまでの成長物語。
2. 世界観設定
時代感・雰囲気: 舞台となる世界の文化、政治体制、街並みなどの全体的な雰囲気を記述します。
独自ルール・規定: その世界に特有の社会制度やルール(身分による服装の違いなど)を記述します。
世界の理(物理法則・魔法体系): 魔法や特殊能力の源となるエネルギーの名称、基本原理、必要なアイテムなどを設定します。
超常現象の視覚・感覚的描写: 魔法や瘴気など、目に見えない概念をどのように表現するか、具体的な描写のルールを定義します。
第2部:登場人物設定
物語を動かすキャラクターたちを詳細に設定します。
[キャラクターの役割]:[キャラクター名]
外見: 髪型、瞳の色、体格、服装など、容姿の特徴を記述します。
内面: 性格、価値観、過去の経験、物語開始時点での目標や葛藤などを記述します。
一人称・呼称: 地の文やセリフで使う一人称、他キャラクターの呼び方をリスト化します。
セリフサンプル: キャラクターの性格や口調がよくわかるセリフを3つほど記述します。
第3部:物語の構成と進行
物語全体の流れを章や話数ごとに具体化し、執筆時のルールを定めます。
全体構成(章立て)
第X章:[章タイトル](物語の展開:起・承・転・結など)
この章のゴール: この章全体を通して達成すべき物語上の目標を記述します。
第X話:[話タイトル]
概要: その話で起こる出来事、登場人物の行動や心情の変化などを具体的に記述します。
原稿執筆時の注意点: 1話あたりの目標文字数、ルビ打ちのルール、文体の統一ルールなどを定めます。
第4部:物語の品質管理
物語の整合性を保ち、読後感を高めるための管理ツールです。
伏線と回収のマトリクス
要素/仕掛け | 伏線の提示(話数) | 展開/回収(話数)
--- | --- | ---
(例:主人公のペンダント) | (第3話) | (第45話)
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【監督が魂を吹き込む「プロット・ブラッシュアップ」の流れ】
さて、ここからが本題です。AIが雛形に沿って出力しただけのプロットは、まだ無味乾燥な「骨格」にすぎません。この骨格に、監督である私たちが血を通わせ、魂を吹き込んでいく、具体的なブラッシュアップのプロセスをご紹介します。
ステップ1:AIによる「骨格」の生成
まず、完成した企画書をAIに読み込ませ、「全50話(仮)すべてのタイトルと、各話の概要をリストアップして」と指示します。最初に物語の全体像を俯瞰することで、各話の役割とボリューム配分を正確に把握するのです。
ステップ2:作者による「血肉」の追加
AIが出力した第1版のあらすじは、当然ながら非常に薄いものです。ここからが、監督である私たち人間の出番です。この骨格に、手書きで肉付けをしていきます。
具体的な展開の追加: 「ここで主人公とライバルが初めて顔を合わせる。互いに第一印象は最悪、という演出で」
キャラクターの心理描写: 「このセリフを言う時のヒロインは、強がっているが内心は不安でいっぱい。その機微を描写すること」
シーンの目的の明記: 「このシーンは読者サービス。ヒーローの格好良い見せ場を必ず入れること」
ステップ3:DeepSearchによる「離脱ポイント」の予測と対策
さて、面白くなる「はず」のプロットができました。ここで一度立ち止まり、完成したプロットをDeepSearchにかけ、「読者が読むのをやめてしまう(離脱する)可能性が高いのは、どの部分か?」という、客観的なリスク分析を行うのです。「中だるみ」しそうな箇所を特定し、日常シーンを挟んだり、カタルシスのある場面を前倒しで投入したりと、プロットの段階で「転ばぬ先の杖」をついておきます。
ステップ4:「編集」を恐れない
この手書きの肉付け作業をしていると、「この話、中身が薄いな…」といった改善点が必ず見つかります。その時は、躊躇なく話数を削除したり、統合したりします。
この地道で、泥臭い作業を経て、AIが作った骨格は、数万字にも及ぶ、読者の心を揺さぶるための血の通った「脚本」へと進化を遂げるのです。
次回は、この完璧な設計図を元に、いかにしてAIという最高の相棒と共に物語を文章という形に「実装」していくのか。いよいよ【執筆】篇をお届けします。
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