推しのVTuberからの愛が重い気がするんだが?

薄明常世

1章

メイちゃんの配信

推しとの距離感について

夜9時を回った。



俺はパソコンの前でとある生配信を見ようとカップ麺を置いて待機していた。



画面上には銀髪に淡い紫色のメッシュが入った少女が《now loading》の文字とともに揺れている。


5分程だろうか、ちょうどカップ麺の待機も終わったタイミングで、彼女の配信が始まった。



「お待たせしました。宵に照らす、あなたの月、【宵月メイ】です!」



(きた!)



(届いてるよ!)



(月を通り越してメイちゃんは太陽みたいだ!!)



(あー、もうかわいい)



(疲れとんだわ)



コメント欄の勢いも加速する。



「ふふ、ルナイトの皆さんもお仕事お疲れ様です。お仕事中の人は無理しない程度に頑張ってくださいね」



(はーい!)



(もう元気でたわ)



(ふっ、引きこもりのワイに不足なし)



(↑働けや)



「さてさてぇ、今日は雑談配信と行きましょう!マシュマロの質問に答えながら、まったりお話しましょう」



(きたきた!)



(読まれるといいな)



(めっちゃ好きなんよ)




「む、今日は雑談か。カップ麺食べながら聞くか」



俺も仕事終わりで急いで帰ってきたタチだ。

彼女の配信は癒しだ。



宵月メイ。

個人勢のVTuberとして活動している彼女の登録者数は100万人を超えている。

高校を卒業して配信に全力を注いでいるということで、配信はほぼ毎日行われていた。


歌枠や雑談、まったりゲーム配信を行っていて、地道な努力もあって個人勢ながら100万人という大台となり、企業勢とのコラボや案件も扱うほどの大物VTuberとなった。



そんな彼女に、俺は初期の初期の頃からファンとなった。


というか、登録者第1号である。



元々VTuberが好きだったのと、新人配信者を漁るのが好きだったため、偶然見つけた1人だった。



当時もVTuberはたくさん居たのだが、彼女を見つけたのは幸運か不運か。


今では毎回数万人を超える視聴者数を抱えていて、古参リスナーながら彼女が遠くへ行ったような感じがしている。




「っと、俺も見てることを伝えないとな。こんメイ〜っと」



俺がコメントを送ったのを待ち構えていたのか、いやそんなことは無いだろうが、メイちゃんが手を振って挨拶した。



『ライさんこんばんわ!!!もちろん私は最初から貴方が居たことに気づいてましたよ♡やっとコメントしてくれましたね』



うん。

遠くへ行ったって思ってるのは俺だけかもしれんな。



「なんでスパチャとか赤スパ(高額なスーパーチャット)でもないのに気づくんだよ!!モデレータ設定とかされてないのに!!!??」



聞こえてないと思うが、俺は絶叫する。



何故か分からないが、彼女の俺に対する反応が、どう考えても他のリスナーと違いすぎる気がするのだが、気のせいだろうか??

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