第47話 命を賭して ― 修繕の極致
黒炎と光が夜空で激突し、王都全体が震えた。
轟音が鳴り響き、建物の瓦が崩れ落ちる。
それでも僕は光の糸を張り続けた。
「リオン! もう無理だ!」
ロイが叫ぶ。
「命が……お前の命が削れてる!」
「分かってる……」
吐き出した息は白く濁り、体温が急速に奪われていく。
胸の奥が焼けるように痛み、足は鉛のように重い。
それでも――手を止めることはできなかった。
「僕が倒れたら……ここでみんなが終わる」
掠れた声で呟き、光をさらに注ぎ込む。
街を覆う修繕の糸は網目のように広がり、兵士たちを守り、壊れた武具を繋ぎ直す。
絶望に沈みかけた人々の心さえも、温かな光で包み込んでいた。
「これが……リオンの修繕……」
セリーヌが涙を浮かべて呟く。
「命を削りながらも、人を救うために……」
「リオン!」
アレンが必死に駆け寄り、僕の腕を支えた。
「これ以上は本当に死んでしまう! だったら――僕に託せ!」
「……違う。託すんじゃない」
僕は弱々しく首を振る。
「一緒に……繋ぐんだ。僕一人じゃ届かない。でも、僕たちなら……」
その言葉に、アレンの瞳が強く輝いた。
「……ああ。なら僕も、命を賭ける」
二人の修繕が共鳴し、光が一層強くなる。
女魔導師が嘲笑を響かせる。
「愚か者ども。命を削って得た光など、闇に呑まれるだけだ!」
翼を広げ、終焉の黒炎が王都全体を覆い尽くした。
空は裂け、大地は軋み、すべてが闇に沈もうとする。
「リオン殿!」
ルシアが剣を振りかざし、叫ぶ。
「私たちも共にある! ここで――未来を切り拓く!」
ロイが盾を叩き、セリーヌが詠唱を重ねる。
仲間たちの力が糸となり、僕の修繕へと流れ込んだ。
「……みんな……ありがとう」
視界が白く霞み、体が限界に近づいていく。
それでも胸の奥に宿った願いだけは、決して揺らがなかった。
「命よ……燃え尽きても構わない……!
この街を、この未来を……繋げ――!!!」
叫んだ瞬間、光の糸が奔流となり、王都全体を覆い尽くした。
黒炎と正面から激突し、世界そのものを揺らす衝撃が走る。
女魔導師の瞳が初めて大きく揺れた。
「この力は……まさか……!」
修繕の極致――命そのものを繋ぎ直す力が、今まさに開花しようとしていた。
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